国会会期が残り1か月を切ったが、菅直人首相の退陣への道筋は不透明なままだ。「菅首相は退陣すべきだ」と「鈴を鳴らす」議員は多いが、押しつけ合って肝心の「首に鈴をかける」人物が見あたらない。民主党内はまとまっておらず、結局ずるずると菅首相ペースでことが進んでいる。
菅首相は2011年7月末、首相公邸で開いた自身に近い議員らとの会合で、退陣3条件のひとつ、特例公債法案が8月中に成立しなければ、9月以降も続投する考えを示した。今国会の会期は8月末で終わり、再延長はできない。
退陣3条件が成立しても「おそらく辞めない」?
1条件(法案)は成立し、残る2法案の中でも特に特例公債法案は、「自分のときに成立させなければ、誰が首相をやっても結局野党に利用され、引きずり下ろされるから」と理由を説明したそうだ。
もっとも、菅首相は、残るもう一方の再生エネルギー法案の成立を退陣条件からはずす気になった、というわけでは全くない。要するに「退陣3条件」の旗を降ろす気はない、と改めて宣言したようなものだ。
「8月中に(退陣問題を)決着させないと、来年(2012年1月)の通常国会まで菅首相が続けてしまう」。民主党の小沢一郎・元代表は7月後半、1期目議員らとの会合でこんな見方を示したという。退陣3条件が成立したとしても「おそらく辞めない」とも語った。内閣不信任決議案の再提出の動きをにらんだ発言とみられている。
一方で小沢氏は、「菅降ろしは執行部の責任でやるべきだ」との考えも周囲にもらしている。民主党の吉良州司・衆院議員らが呼びかけた、菅首相の即時退陣を求める署名へは小沢グループは協力しておらず、当面は静観する構えを見せている。同署名活動はさしたる広がりをみせなかった。