韓流ドラマの1か月間の放送時間は「フジテレビがダントツで多い」ことがTBS系情報バラエティ番組で紹介された。フジテレビに対し批判的な意見が相次ぐ一方で、「単に経済原則に従っているだけでは?」といった声もある。
発端は、俳優の高岡蒼甫さんがツイッター(2011年7月23日)で、「8は今マジで見ない。韓国のTV局かと思うこともしばしば」などとつぶやいたことだ。「8」は首都圏の8チャンネル、フジテレビのことと見られ、ネット上で波紋を呼んでいる。
「韓流ドラマをゴリ押し」批判も
高岡さんのツイッター発言をめぐる「大騒動」を、各局の韓流ドラマ放送時間の情報とともに伝えたのは、7月31日放送の「アッコにおまかせ!」(TBS系)だ。高岡さんのツイッターの内容に触れつつ、各局の1か月の韓流ドラマ放送時間をパネルで紹介した。
パネルには4局登場し、「NHK4時間 TBS20時間 テレビ東京12時間 フジテレビ40時間」と書かれていた。フジテレビの放送時間が「ダントツ」だとも紹介された。出演者らのコメントはなく、あっさりと別の話題に移った。
フジテレビの番組表(首都圏)をみると、14時台に「製パン王 キム・タック」と15時台に「恋愛マニュアル」の2本の韓流ドラマを月~金で流している。この2本で月約40時間になる計算だ。ちなみに、ほぼ同じ時間帯に米国ドラマを流している他局もある。
フジは2011年1月から平日14時台に「韓流α(アルファ)」枠を設けた。第1弾ドラマは、2010年の年間平均視聴率3.9%を上回る5.2%(平均)だった。好調の流れを受け、15時台にも韓流ドラマ枠が拡大した形だ。
フジテレビの同時間帯は、過去の番組の再放送枠であることが多かったこともあり、ツイッターなどでは「日本ドラマの再放送より韓国ドラマ放送の方が、その時間帯の視聴率を取れる、とフジテレビがみているだけの話ではないか」という指摘もある。フジテレビが韓流コンテンツを視聴者に「ゴリ押し」している、といった批判が相次いでいることに対し、違和感をもつ人もいるようだ。
自社制作番組をつくるより韓流ドラマを流す方が安上がりだったり、広告を取りやすかったりという側面などから「単なる経済原則」なのではないか、というわけだ。他局との差については、「戦略」や「視聴率の読み」の違いとみている人もいる。
BSでも韓流ドラマが多い
もっとも、韓流コンテンツの「急増」に批判的な意見をネット上で表明する人たちが気にしているのは、フジテレビ系の韓流ドラマのことだけではなさそうだ。同局系の音楽番組やバラエティ番組でK-POPグループや韓流スターらが度々紹介されることを指摘する声もある。
また、フジテレビだけでなく、他局やBS各局の韓流ドラマ放送を含めて「洗脳だ」などと懸念を表明する人もいる。BSでも韓流ドラマが多いという印象をもっている人は少なくない。
BSといえば、民放で通販番組が多すぎるとの批判を受け、10月からは、報道や通販などの番組編成の時間配分(7~9月分)を公表しなければならなくなった。業界内では、韓流ドラマの主な視聴層とされる年配の女性は、通販番組の利用率も高く、両番組の「相性」は良いとみられている。
新BS局については総務省が通販番組などを30%以内に抑えるよう求めており、既存BS局も自主的に「30%以内」を目標として削減する取り組みを始めている。BSの通販番組減少が、「相性の良い」BSの韓流ドラマ、さらには地上波の韓流ドラマの増減にどう影響するかは未知数だ。