解熱鎮痛剤市場に異変 国内シェア「EVE」が「バファリン」抜く

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   解熱鎮痛剤市場に異変が起きている。エスエス製薬が販売する「EVE」(イブ)シリーズが、「バファリン」(ライオン)を抜いて国内シェア1位に躍り出た。市場調査会社によると、2011年4~6月の3か月連続で「イブ」が「バファリン」の売上げシェアを上回った。

   解熱鎮痛剤市場はこれまで、「バファリン」の牙城だったが、「イブ」のほかにも、2011年1月には第I類医薬品(薬剤師の処方が必要な医薬品)の「ロキソニンS」が発売されるなど、競争が激しくなっている。

「速くよく効く」と働く女性に人気

解熱鎮痛剤市場で発売26年目、初の首位(写真は、「イブA錠」と「イブクイック頭痛薬」)
解熱鎮痛剤市場で発売26年目、初の首位(写真は、「イブA錠」と「イブクイック頭痛薬」)

   「イブ」は1985年に、医療用として医師による処方が必要だった鎮痛剤「イブプロフェン」を一般用医薬品として、薬局やドラッグストアで購入できるように製品化した、日本初のスイッチOTC医薬品。「イブプロフェン」は、解熱、鎮痛、抗炎症作用に優れているとされ、「効き目の速さ」が特徴だ。

   発売して5年後には、鎮痛効果を高めた「イブA錠」を、2006年には、速く効く効果を発揮する「イブクイック頭痛薬」を発売した。

   市場調査会社の調べでは、11年4月の売上げシェアは「イブ」が20.4%、「バファリン」が19.9%。5月は「イブ」20.8%、「バファリン」20.4%、6月は「イブ」20.6%、「バファリン」19.9%と、発売26年目にして初の1位を奪取した。今回の「逆転劇」について、エスエス製薬は「素直にうれしいです。今後も愛されるブランドとして成長していきたい」と話している。

   解熱鎮痛剤市場は、医薬品の中でも「効き目が強いのでユーザーが安全性を重視する傾向にあります。そのため、服用経験がモノを言う市場といえます」(マーケティング調査の富士経済)と指摘する。

   つまり一度処方してカラダにあえば、飲み続ける傾向にあるので、製品が動きにくい。そうした中で、「イブ」は女性をターゲットに、独自の製剤技術で女性にも飲みやすい小粒のフィルムコーティング錠剤や、「イブクイック頭痛薬」での「効く目の速さ」が働く女性を中心に受け入れられ、シェアを伸ばした。

   女優の篠原涼子さんや香里奈さん、マリエさん、マツコ・デラックスさんを起用したテレビCMなど、積極的な広告宣伝も奏功。「広告投資に比例して売上げも伸びています。新しいCMはツイッターなどでも話題になりました」という。

新製品の登場で新たなユーザーを獲得

   解熱鎮痛剤市場は、全体的には2010年が361億円で前年比0.6%減だった(富士経済の「国内の一般用医薬品(OTC)市場調査」)。ここ数年、総合感冒薬への需要流出もあって微減が続いたが、11年は一転して373億円、3.3%増を見込んでいる。

   背景には、「新製品の相次ぐ発売があります」(富士経済)という。2009年に登場した、男性をターゲットにした「ナロンエースR」(大正製薬)や、11年1月の「ロキソニンS」(第一三共ヘルスケア)がそれ。なかでも、「ロキソニンS」は「イブ」と同じスイッチOTCの新製品で、第I類医薬品にもかかわらず売れていて、「従来から医師が処方していた成分なので、ユーザーも服用経験がある。その安心感から売上げを伸ばしている」とみている。

   新製品の登場が市場を活性化して、新たなユーザーの獲得につながっているようだ。

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