オンライン決済システム「PayPal」のツイッターアカウントがハッキングされる事件が2011年7月6日、発生した。実害はなかったというものの、金銭を管理するサービスなだけに海外で騒動となっている。
PayPalは、約1億人のユーザーを擁する世界最大級のオンライン決済システムサービス。現在190の国と地域で利用されている。個人でも企業でも簡単に利用可能で、近年大きくユーザー数をのばしている。本社はアメリカだ。
「俺たちのセキュリティは凄いだろ。このツイッターを見てくれよ!」
ハッキングされたのはPayPalのイギリスでのツイッターアカウント「PayPal UK」。2011年7月8日現在、1万7000人にフォローされていて、複数の海外ネットメディアによると、7月6日、ハッカーに乗っ取られてしまった。
プロフィール説明が「PayPal UKの駄目チームのオフィシャルツイッターアカウントです」に変えられたほか、アカウントの写真も排泄物に変えられてしまい、「全てのペイパルアカウントは凍結した。このクソが掃除されるまではな!」と投稿。さらには、「俺たちのセキュリティは凄いだろ。このツイッターを見てくれよ!」と挑発した。
フォロワーからは「安全と言われていたペイパルがハッキングされてしまった。自分のPayPalアカウントをキャンセルするべきかも知れない」といった反応が寄せられ、ハッカーもわざわざこの呟きをリツイートしている。
米FOXのツイッターも乗っ取られたばかり
しばらくしてアカウントはPaPal UKの正常な管理下に戻り、「あなたの個人情報は100%安全です。ハッキングされたのはツイッターであって、PayPalではありません」と報告。「先ほど汚くて子供じみたツイートが流れてしまったことをお詫びします」と陳謝した。
決済システムそのものには影響はなかったというが、金銭を扱う企業のツイッターアカウントがハッキングされたことは大きな話題となり、海外のネットユーザーからは「もっと気をつけろよ」「これは恥ずかしいことだ。ネットにはたくさんのハッカーがいるんだから、最早どんな企業も安全とは言えない」といった声が挙がった。
またツイッターでのハッキングというと、最近も7月4日に米テレビ局、「FOX news」のアカウントが乗っ取られたばかり。オバマ米大統領が暗殺されたという虚偽情報がハッカーによってFOXアカウントから流され、大きな騒動となった。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、
「ツイッターがハッキングされたというよりも、パスワードが外に漏れちゃったという感じではないでしょうか。最近、海外特にヨーロッパで、スマートフォンをターゲットにしたマルウェア(悪意のこもったソフトウェア)が流行しているのですが、アカウント管理者が個人で使っていたスマホが感染していて、そこから外部に漏れてしまったという可能性が考えられます。本来の決済システムサービスに影響はないとしても、お金をやりとりする企業ですから信用問題に関わってくるかも知れません」
と話している。