「2位じゃだめ?」発言のおかげか 日本スパコン、世界一を奪還

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   日本のスーパーコンピューター世界一奪還は蓮舫氏のおかげ――かつての事業仕分けで出た蓮舫氏の「2位じゃダメなんでしょうか」発言について、こんな「高い評価」も出る一方、蓮舫氏本人は「メディアが勝手に短い部分を流した」と報道陣に不満を述べている。

   高木義明・文部科学相は2011年6月21日の会見で、日本のスパコンが7年ぶりに計算速度の世界ランキング1位に選ばれたことについて、蓮舫・行政刷新担当相の以前の発言との関係をこう語った。「科学者が発奮し、むしろバネになった」。

「メディアが勝手に短い部分を流した」

蓮舫大臣のおかげ?
蓮舫大臣のおかげ?

   一方、蓮舫氏は6月20日、「世界一」について「きわめて明るいニュース」と歓迎しつつ、自身のかつての発言について聞かれると「メディアが勝手に短い部分を流した」「コメントの前後をみていただければ間違った報道」と指摘した。

   「2位じゃダメなんでしょうか」発言は、2009年11月の事業仕分けの中で出た。ほかの「評価者」からも疑問が相次ぎ、10年度のスパコン開発予算は「凍結」「見直し」と判定された。

   厳しい口調で文部科学省の担当者らに切り込む蓮舫氏のこの発言部分の映像は、テレビでも何度も繰り返し放送された。翌10年には新語・流行語大賞にノミネートされる程有名になり、蓮舫氏をイメージしたパロディのテレビCMも登場した。

   一方、同発言に対しては、ノーベル賞受賞者らが会見して「(1位を)目指さなければ2位、3位にもなれない」と反発するなど批判もあった。

   10年度スパコン予算は、結局は認められている。文科省によると、今回「世界一」になったスパコンはまだ開発途中で、2012年6月の完成を目指している。能力はさらに向上するわけだ。完成を予定より約半年前倒しさせるため、10~11年度の2年間で600億円(スパコン本体開発)を見込んでいたが、事業仕分けを受けて前倒し分が削られ、10~12年度の3年間で490億円の元の線で落ち着いた。

「世論喚起の形になって良かった」

   それにしても、今回「2位じゃダメなんでしょうか」報道を批判した蓮舫氏は、どこに不満をもっているのだろうか。

   蓮舫氏の著書「一番じゃなきゃダメですか?」(2010年6月)の何か所かで、この問題について触れている。

   一部を引用すると、「前後の関係を見ていただいた方々には、役人側に説明能力がない、ということがわかってしまった」「一部分を取り上げられることに対しても、自分自身の口から出た言葉ですから、私は否定もしないし、言い訳もしません」などとして、スパコンについて家庭などでも広く議論が浸透したことが「最大の副産物」だったと指摘している。

   2009年11月にあったスパコン関連事業仕分けの様子を動画であらためて確認してみた。

   蓮舫氏の発言の前に、「1位でいられる期間は?」「一時的にトップになることにどの位意味があるのか」との質問が出る。回答者は「国民に夢を与えることが大きなひとつの目的」と述べた。

   その後、蓮舫氏はそうした思いや夢を否定するわけではないと前置きしつつ、「本当にこの額が必要なのか、もうちょっと教えて下さい」などと注文する。そして例の「2位じゃダメなんですか」が出てくる。2位以下になると、それまでの人的、材的投資がゼロになる、という意味なのかとも質問している。さらに、米国との共同開発の可能性についても聞いている。

   その後も、文科省側の答えに納得がいかないのか、ほかの「評価者」らからも同趣旨の質問が相次いでいる。(10位以内には入るが1位ではない)フランスやドイツのスパコンはどうなるのか、といった具合だ。

   ある文科省関係者に「2位じゃ~」発言についてあらためて話をきくと、「スパコンの意義や世界一を目指す必要性について世論を喚起する形になって結果的には良かった」と答えた。蓮舫氏への「感謝」なのか「皮肉」なのかは分からなかった。

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