電気料金「月1000円」上がるのか 相次ぐ試算の根拠と現実味

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「原発コスト安い」は本当か

   また、電気料金値上げの可能性が指摘されているのは、福島第1原発事故を抱える東電だけではない。経済産業省所管の財団法人、日本エネルギー経済研究所が6月13日に公表した試算によると、国内の全原発を停止させ火力発電でまかなった場合、2012年度の電気料金(標準家庭)は、燃料費増のため平均で月1049円(18.2%)増加する。

   燃料の需要増による燃料単価の上昇は計算に入れておらず、さらに上がる可能性もあるとしている。定期検査で停止した(する)原発の再稼働の可否が大きな問題となる中、「原発全停止」は絵空事とは言えない状勢だ。同研究所では、必要となる増加分の燃料をすべて確保できるとは限らず電力不足になる可能性も指摘している。

   一方、「原発から火力」に伴う電気料金値上げ試算については、「原発推進派による都合の良い解釈だ」との批判がインターネット上などでみられる。

   こうした声に対し、日本エネルギー経済研究所の担当者は「事実関係を整理してとりまとめた」と、冷静な議論のたたき台にして欲しいとの考えを示した。

   東京財団上席研究員でもある原田泰・大和総研顧問は、「そもそもこれまでの『原発のコストは安い』という議論に問題がある」と指摘する。原発発電コストに核廃棄物処理コストなどが入っていなかったためだという。

   「原発停止なら値上げ」の試算については、「電力業への形だけではない競争の導入」や「コスト構造の公開」を進めた上でないと「信頼が得られないだろう」とも指摘した。もっとも、現在の状況下では、「ある程度の値上げは仕方ない」とも考えているそうだ。

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