追いつかぬ瓦屋根の補修 職人からは自殺者まで

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   東北を旅すると、ブルーシートに重石で仮補修しただけの瓦屋根をいたるところで見かける。被災民家が多すぎて、いまだに修理が追いつかないためだ。福島県では対応に終われる瓦職人2人が自殺に追い込まれた、と福島民報(6月12日付)が伝えている。

   福島県瓦工事組合連合会によると、福島県内で民家などから落ちた瓦は推計で約4万トン。修理依頼が一気に押し寄せ、どの業者も1000件程度を抱えてパンク状態だという。

   「腕が悪いから壊れた」という非難、過重な労働、修理の催促。職人から「もう限界」との声が出る。連合会には震災後、会員2人の自殺の可能性が報告された。

   中通りに住む瓦職人の男性が遺書に「もう限界です」と書き残し、自ら命を絶ったのは5月初めのことだった。補修の依頼が殺到し、多い時は1日に30件も。1人でこなせる限度を超え、仕事はたまるばかりだったという。県南地方の業者は、自分が屋根を手がけた顧客から容赦のない言葉を浴びせられた。「ノイローゼになった仲間もいた」と打ち明ける。

   梅雨を迎え、次には台風シーズンがやってくる。修理を待つ人からは「いつ嵐が来るか分からない。早く直して」との声が相次ぐ。全日本瓦工事業連盟はホームページで、被災地で仕事を請け負ってくれる職人を募っているが、応募した職人の希望先は宮城や茨城県に偏り、福島県への加勢は少ない。ここにも、原発事故に伴う放射線への恐怖が影を落としている。

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