東日本大震災への取り組みに一定のメドがついた時点での辞任を表明した菅直人首相は2011年6月2日夜の記者会見で、具体的な退任の時期については「代議士会で言ったとおり、『一定のめど』」と、言葉を濁した。だが、原発が「冷温停止」の状態になることが事故収束の「一定のメド」になるとの見解を示し、長ければ12年1月まで続投する考えを示した。
また、鳩山由紀夫前首相との会談で早期退陣を受け入れたとされていることについては「あそこ(合意文書)に書かれたとおり」と述べ、早期退陣で合意したとの見方に反論した。
「代議士会で申し上げたとおり」
「一定のメド」の意味を繰り返し聞かれた菅首相は、
「代議士会の場で、私自身の言葉で申し上げたところ。文字通り『一定のメド』」
「そこ(代議士会)で申し上げたとおり」
などとはぐらかしたものの、
「(原発事故収束のための)工程表で言うと、ステップ2が完了して放射性物質の放出がほぼなくなり、冷温停止という状態になる。そのことが、原子力事故の一定のメドだと思っている」
と、「冷温停止」の状態が「一定のメド」にあたるとの見方を示した。工程表では、「冷温停止」になるのは最も遅い場合では12年の1月だとされており、会見場の記者からは
「なんだ、結局辞めないんじゃん」
との声も複数漏れた。
鳩山氏は6月2日午後に菅内閣への不信任案が否決された直後、菅内閣の退陣の時期について
「復興基本法が成立する。それから2次補正予算の早期編成のメドが立つときに。成立じゃありません。メドがたつときに身を引いてもらいたい。確認事項だということを取りましたので」
と述べ、6月中の退陣で合意したと主張している。この点について菅首相は
「鳩山前首相との話では、あの合意事項という文書に書かれた以外の何らかの約束とか一切ない」
「鳩山さんとの合意は、あの文書に書かれた通り。それ以上、私が申し上げることは控えた方がいい」
と反論した。合意文書には菅首相の辞任について具体的な記述はなく、会談の合意内容についての認識の違いが改めて浮き彫りになった形だ。