お母さんのおなかの中にいた時の自分の状態や、聞こえた音や声、周囲の状況などを覚えている、という人がいる。こうした「胎内記憶」を持つ日本人がどのくらいいるかを、横浜市金沢区・池川クリニックの池川明院長がまとめ、2011年3月発行の『国際生命情報科学会誌』で発表した。
産婦人科医の池川さんは胎内記憶に関心を持ち、研修や講演活動をしている。2008年に中学生や一般人、助産師・看護師などを対象に計8回、胎内記憶をテーマに講演をした。その時にアンケート用紙を配り、胎内記憶の有無を聞いた。
大人にも「胎内記憶ある」人
講演に参加したのは617 世帯、2448人。論文によると、「胎内記憶がある」と答えたのは、成人1442人のうち18人 (1.2 %) 、未成年のほうが率は高く、1006人のうち73人(7.3%) で、全体では2448人のうちの91人(3.7%) だった。また、「胎内記憶がある」人が1人以上いる世帯は617 のうちの80で13.0%だった。
胎内記憶は子どもの方が多いことはすでに裏付けがある。池川さんは2002年、2003年に長野県の保育園児3601人にアンケート調査し、1620人から回答を得て、2006年、論文にまとめた。
それによると、胎内記憶があった園児は534 人 (33.0%) 、生まれ出た時の「誕生記憶」は335 人 (20.7%) 、両方あったのが354 人 (21.9%) だった。少なくとも片方があった615 人 (38.0%) のうち、自ら「記憶」を語ったのは51人で、大部分の564 人はこちらから聞いたら答えたというケースだった。