任天堂が据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」の次世代機を2012年に発売すると発表した。しかし、任天堂の公式発表は「2011年6月7日から米ロサンゼルスで開催されるビデオゲーム展示会『E3ショー』に体験いただける状態で出展し、その際に具体的な仕様について公表する」などとアナウンスしただけ。
にもかかわらず、Wiiの次世代機発売をめぐっては、米ウォールストリートジャーナルなど海外メディアが相次ぎ速報し、海外でもファンの関心が高いことを裏付けた。
次世代のWiiは社運を賭けたモデル
任天堂が主力とするゲーム専用機には、スマートフォンやタブレット端末など新たなライバルが登場している。任天堂にとって次世代のWiiは社運を賭けたモデルとなるのは間違いない。
Wiiは2006年の発売以来、2011年3月末までに8601万台を売り上げるヒット商品となったが、近年はスマートフォンなどの携帯端末で手軽にゲームが楽しめるようになり、Wiiの苦戦が続いていた。2010年度のWiiの販売台数は当初目標の1800万台に届かず、1508万台にとどまった。岩田聡社長は会見で「Wiiで驚いてもらうのに苦労を感じるようになった」とモデルチェンジの必要性を認めたうえで、「新しい商品で驚いていただくよう、新しい提案をしたい」と力を込めた。
米ウォールストリートジャーナルは「任天堂は減益のためWiiの後継機を計画した」との見出しで速報した。これは任天堂が2011年3月期連結決算の発表に合わせて、Wiiの次世代機を発売すると発表したためだ。同決算は売上高が前期比29.3%減の1兆143億円、最終利益が同66.1%減の776億円となり、2期連続の減収減益だった。主力の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズの販売台数が同35.4%減の1752万台、Wiiも同26.6%減の1508万台と振るわなかったのが主因だ。任天堂はWiiなどの投入で、2007年3月期から3期連続で増収増益を更新するなど絶好調だったが、ここ2年は苦戦が続いていた。