「もう真央に勝てない」といわれた 安藤美姫逆転優勝の秘密

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「イケメン」コーチが「精神面の支え」

   ここ2、3年、日本の女子フィギュアスケートは、ずっと浅田真央が第1人者のように扱われてきた。安藤は確かに2007年から2009年まで勝つことから遠ざかっていた。それどころか若い村上佳菜子の台頭もあり、注目度は下がっていた。

「安藤時代は終わった、安藤はもう浅田に勝てないだろう-と見られていたことは事実です」

   スケート担当記者はそう明かしている。それだけにここへきての強さは驚きである。彼女に何があったのか気になる。ひとつのヒントは外国人コーチの存在だ。

「彼女は安定した演技をすることができた。だから勝てた。また、彼女は(精神的に)強い選手だ」

   優勝をこうたたえたニコライ・モロゾフがそのコーチ。五輪金メダリストの荒川静香から紹介されたといわれる人物だ。いわゆる「イケメン」で、ソフトな感じを与える。「安藤の恋人か」。そううわさされる男性でもある。

   安藤は十代から注目された。二十代にさしかかったころに勝てなくなった。それを支えたのがニコライ・コーチだった。「技術面の指導」だけではなく「精神面の支え」でもあったのだろう。

   大会中、東日本大震災の被災者に向け「元気を与えたい」と勝負に臨んだ。プロ野球で仙台を本拠とする星野仙一監督率いる楽天イーグルスは「野球の底力を見せよう」と激励したが、安藤も思いは同じで、さしずめ「女の底力」を示したといえる。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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