放たれた牛、「生きててくれれば」
さらに異様なのが、野放し状態になった牛だ。ビデオニュースの動画では、原発から1.8キロ地点で4~5頭の黒い牛の群れが出てきて、道路を横断。付近の草を食べている。
福島県畜産農業共同組合連合会によると、30キロ圏内には乳牛や和牛などが1万頭ほどいる。避難する際に「繋がれたままだとかわいそう」と外に放した畜産農家があるという。
「家族同様の思いで牛を育てている畜産農家もあります。青草や生け垣を食べているみたいですが、福島はまだ寒いですし、そんなにはありません。農家は『なんとか生きていてくれれば』という思いです。20キロ圏内に戻ってエサをやっている農家もいます」
と話す。また、20キロ圏内は「避難指示」なので国の補償対象になったとしても、20キロから30キロ圏の「自主避難」では分からない。
「死んだまま放置される牛もいて、腐敗が進めば伝染病も心配。畜産農家は皆怒っています。放射性物質が出たら売ることは出来ませんし、国と東電は責任を認めて、補償するとはっきりさせなければいけません」