韓国が実効支配している竹島(韓国名: 独島)をめぐり、日韓関係の緊張感が高まりつつある。竹島近海に韓国が総合海洋科学基地を建設する計画が明らかになったからだ。日本側は計画の中止を求めたものの、韓国側は「日本が関与する事項ではない」と一蹴。この施設は、一体どのようなものなのだろうか。
韓国では東日本大震災の被災者への募金額が213億ウォン(約15億円、大韓赤十字社集計)に達しているが、「震災への支援と領土問題は全く別問題」ということのようだ。
延べ2700平方m、高さ88m
李明博大統領は2011年4月1日に開いた記者会見で、竹島について「天地がひっくりかえっても我々の領土」と強調。実効支配を強化していく方針を明言した。これは、3月30日に発表された日本の中学校教科書の検定結果で、地理の全教科書、公民の大半の教科書が竹島について記述したことに反発したものだ。
そこに持ち上がったのが、総合海洋科学基地の計画だ。韓国政府が2011年4月4日に国会に報告したところによると、基地が建設されるのは竹島の北西約1キロの地点。約430億ウォン(約34億円)を投じて、延べ面積約2700平方メートル、高さ88メートル(海上からの高さは38メートル)の施設を11年4月中に着工。12年12月までには完成させ、完成後は無人で日本海の海洋・気象・地震などを観測すると説明されている。
さらに、この日の会議では、竹島に幅295メートル、幅20メートルの防波堤の設計を11年中に終え、11年7月に完成を予定していた宿舎の工事を2か月前倒すことも明らかになった。
「日本が関与する事項ではない」と一蹴
中央日報によると、この一連の工事の狙いは「実効的支配のための事業を迅速に進める」(鄭鍾煥(チョン・ジョンファン)国土海洋部長官)ことにあるという。
この動きに対して、何ら有効な対策を取ることができていないのが日本側だ。竹島を管轄する島根県は4月5日、外務省に対して、事実関係の確認を求める緊急要請を行い、仮に建設計画が事実である場合は基地建設計画の中止を求めるなどの対応を求めた。実際に同日午後には、佐々江賢一郎事務次官が権哲賢(クォン・チョルヒョン)駐日韓国大使を外務省に呼び、建設計画に対して抗議。中断を求めた。だが、聯合ニュースによると、権大使は
「独島は歴史的、地理的に韓国固有の領土であり、必要に応じ領土に対する主権を行使するもので、日本が関与する事項ではない」
として、日本側の要求を一蹴したという。
今回の施設建設以外にも、与党のハンナラ党では、08年頃から、竹島を構成する2つの島の間を埋め立てる構想も進めている。これは、水没しかかっていた沖ノ鳥島の周りを日本政府がコンクリートで固めて保全した手法が念頭にあるとみられ、定住人口を増やして実効支配を強化する狙いがある。