「お酒を飲んで花見をしてください」 岩手、宮城、福島の蔵元がアピール

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

酒を傾けながら被災地について語ってほしい

   東北の他県にある日本酒の蔵元も、久慈さんに同調する。宮城県大崎市の「一ノ蔵」常務の鈴木整さんは、ツイッターで久慈さんが「東北の酒を飲んでください」とアピールする内容をリツイート(再投稿)し、広めてきた。

   「一ノ蔵」は、震災で仕込み蔵が被害を受け、製品も数万本が破損、一時倉庫の前は割れたビンの破片などがうずたかく積み上がった。2011年3月22日から出荷を再開したが、「3月の出荷は例年の半分です」と鈴木さんは打ち明ける。宮城県沿岸部の得意先が被災し、首都圏からの注文も、計画停電の影響で飲食店が不振だったため激減したという。被災地の本格的な復興がいつになるのか読めないなか、「これからどうなるんだろうと不安でいっぱいです」という。

   現状では「関東が頼みの綱」と鈴木さん。「一ノ蔵」の社員の中には、地震や津波で家が壊れた人もおり、鈴木さんも車を流されたという。「酒を傾けながら『三陸はどうなっているだろう』などと被災地を思ったり、語り合ったりしていただければありがたいですね」。

   福島県郡山市にある「仁井田本家」専務の高橋豊美さんも、過度の自粛ムードに懸念を示す。「花見気分になれないかもしれないが、少しでも東北を応援していただけるのであればお酒を控えないでほしいのです」と高橋さんは願う。

   地震の被害はそれほど大きくはなく、今季の酒造りにも支障が出なかったが、今は「とにかく原発問題が心配です」と語る。福島第1原子力発電所の事故で、風評被害は出ないだろうか、来シーズン用に仕込む酒につかうコメは地元でとれるのか、など悩みは尽きない。「先が見える支援」として、何より自分たちがつくった酒を飲んでもらうことが一番ですと高橋さんは語った。

1 2
姉妹サイト