原発事故で屋内退避地域にもなっている福島県南相馬市の桜井勝延市長が、生活物資が足りない状況などをユーチューブで世界に訴えている。これに対し、米国の大学教授が連絡してきたり、米CNNなど海外メディアからも問い合わせが来たりするなど反響を呼んでいる。
「物資もなかなか入りづらい状況に置かれております」
コメントも英文を含めて100件以上
「政府から、そして東京電力からの情報もかなり不足をしている状況です」
防災服姿の桜井勝延市長が、カメラに向かって切々と訴えていく。「SOS」などと題されたユーチューブ投稿動画のシーンだ。
桜井市長は日本語で語っているが、英語の字幕も付けられている。南相馬市が2011年3月24日に収録した11分ほどの動画は、これまでに4万回ほども再生された。コメントも英文を含めて100件以上に達し、ネット上で話題になっている。
南相馬市は、福島第1原発から北に約25キロ離れたところにある。20~30キロ圏の屋内退避地域に入っており、放射能を恐れた業者が物資輸送を拒否していると騒がれた。
ユーチューブの中で、桜井市長は、ボランティアなども自己責任で入らざるをえないと窮状を訴える。メディアの取材も電話が圧倒的に多く、実情が伝わらないのが現状だという。
同市では、5万人弱の市民が全国に避難したが、現在も2万人ほどが残っている。しかし、コンビニ、スーパーから金融機関まで休業しており、食料などを宅配したくてもガソリンがひっ迫している。政府は、生活面での不自由を考えて自主避難を促しているが、ガソリン不足でそれすら困ってきている状況というのだ。
こうしたことについて、桜井市長は、「市民にとっては兵糧攻め的な状況に置かれています」と支援を訴えている。