危機回避に向けた綱渡りの対応が続く福島第一原発事故により、外資系企業の東京脱出が本格化し、関西方面などに本拠を移す動きが続いている。
欧州各国は旧ソ連のチェルノイブイリ原発事故後から、延々と国民的な「脱原発」論議を続けた経緯もあり、「安全神話」が受け入れられてきた日本よりは原発事故に神経質な面があることも背景にありそうだ。ただ、外資系が一様に逃げ出しているわけではない。
フォルクスワーゲンは外国人社員の大半を帰国させる
スウェーデンのカジュアル衣料大手、H&Mも関東地区の9店を臨時休業した。本社機能は大阪市内のホテルに暫定的に移して業務を続けている。H&Mは日本人を含めた店舗従業員についても、交通費、宿泊費は会社負担で西日本などに退避できる措置を取った。
格安さとファッショナブルさが受けて日本に浸透しつつある、スウェーデンの家具大手「イケア」も、震災発生直後に関東の3店を閉鎖したうえ、日本の本社機能を船橋店から神戸店に移した。社長以外の外国人社員は香港へ既に移動させている。
独自動車大手のフォルクスワーゲンは、約40人の外国人社員の大半を家族とともに帰国させた。東京の事務機能は愛知県豊橋市に置く日本法人の本社に移した。メルセデス・ベンツ日本や、英蘭系の日用品大手、ユニリーバ・ジャパンも、外国人社員の家族を国外に退避させている。
仏金融大手のBNPパリバは、日本での営業は続けているが、社員約10人を香港とシンガポールの拠点に移したという。