混沌とするリビア情勢をきっかけに原油価格が高騰。そうした中で、原油の先物価格を指標とするCFD(差金決済取引)で3億円を稼ぎ出した個人投資家が現れ、ちょっとした騒ぎになった。
投資家は自称26歳のサラリーマン。「三日で3億稼いだけど質問ある?」と、インターネット掲示板に投稿。20億円に到達したら取引をやめて、欧州の城を買いたい、とも書いている。
親や彼女から借金をして3300万円の元手をつくり、それを50倍のレバレッジをかけて原油CFDに投資した。
「理論的には可能ですし、問題はありません」
掲示板に公開された「日本円の口座明細」には「3億2234万8991円」の数字が並び、その「証拠」として取引履歴も公開されている。ただ、本人かどうか確認はできていない。
当初は、デモンストレーション用の画面ではないかと推測されたり、26歳の個人がそんな大金を動かせるかと、「釣り」と疑われたりされたが、その男性が取引しているというIGマーケッツ証券によると、「具体的な取引についてはわかりませんが、理論的には可能ですし、問題はありません」と話す。
原油CFD取引について、IGマーケッツ証券は未成年者や一部の高齢者は取引できないが、口座開設時に年収や資産を申告してもらって審査し、それが通れば基本的には誰でも取引できる。「取引金額やレバレッジの多寡、また法人・個人を理由に投資を制限することはない」という。
ただし、1回の投資金額が数億円になるなどかさむと、マーケットの状況によっては「弊社がリスクを負えなくなるので、取引を一時的にできなくすることはあります」と説明する。
CFD取引は、投資家から「買い」の指示があると業者が一たんそれを引き受け、反対取引(売り)をする相手にはめ込むことで成立する。「原油先物は取引が多く流動性が高い市場のため、取引ができなくなる機会も少ない」。
男性は取引をくり返し、19勝1敗の成績だった。話の信憑性はともかく、「こんな騒ぎは初めてですね」と、IGマーケッツ証券は話している。