女優・上野樹里さん主演のNHKの大河ドラマ「江 姫たちの戦国」が苦戦している。視聴率が落ち始め、早くも20%を切った。原因は諸説あるものの、上野さんの演技のせいという人も多く、「時代劇なのに『のだめ』にしか見えない」といった厳しい見方も寄せられている。
「江」は織田信長の妹、市の三女で、後に徳川秀忠に嫁いで三代将軍家光を生む。これまで武将に焦点の当たることが多かった戦国時代を、女性の活躍を中心に描いているのが特徴で、2011年1月9日にスタートした。主役の江を上野さんが演じているほか、鈴木保奈美さんや北大路欣也さんら大御所俳優も出演している。
「本能寺の変」が終わって視聴率一気に下落
当初は視聴率22%前後(ビデオリサーチ調べ 関東地区)と好調だったものの、2月6日放送された第5回の「本能寺の変」で豊川悦司さん演じる織田信長がメインストーリーから退場。それから視聴率は一気に落ち、第6回(2月13日放送)は19.6%と初の20%切り。2月20日に放送された第7回は更に落ちて18.5%となっている。
一体どうしてなのか。これまで「脚本が稚拙」「時代考証がメチャクチャ」といった指摘が出ていたが、最近特に言われているのが上野さんの演技だ。史実ではまだ9~10歳の江を24歳の上野さんが演じるのにそもそも無理があるという見方もあるが、ネット上を見ても「時代劇の所作が全くできていない」「あのしゃべり方はどうにかならないのか」といった批判にさらされている。
芸能評論家の肥留間正明さんは、
「演技は駄目ですし、何をやっても『のだめ』にしか見えないんです」
と斬りすてる。
「歴史の解釈は自由ですが、史実を曲げてはいけない」
上野さんを女優として一躍有名にしたのが2006年に放送されたフジの月9ドラマ「のだめカンタービレ」だ。漫画を原作としたコメディドラマということもあり、上野さんは主役・野田恵をコミカルタッチに熱演。映画化もされてヒットした。
「『のだめ』は当たり役でしたけど、そんな彼女が戦国時代の女性を演じても重さがない。せっかく鈴木保奈美がいい演技をしているのに、『のだめ』みたいな上野の演技がバカ姫みたいなんですよ。元々彼女は顔も目が大きいだけだから、時代劇に必要な品格もない。渋谷にいるお姉ちゃんがそのまま演技しているみたいですね。そもそも視聴者は俳優にそれまでの役を重ねて見ますから、『のだめ』のイメージが強すぎる上野が大河というのは人選自体が間違っています」
肥留間さんはさらに、歴史的な事実とかけ離れている点も問題だという。
「歴史の解釈は自由ですが、史実を曲げてはいけない。江が家康と伊賀越えしたり、明智光秀に説教したりしていると視聴者は『信用できない』と思ってどんどん離れていきますよ。戦国は信長に『それは違いますオジサマー!』なんて言えるような時代じゃないんです。私はもう観ません。時間の無駄です」