情報収集能力の弱さが指摘される日本政府だが、内閣情報調査室(内調)の中に北朝鮮や中国をターゲットにした諜報機関を立ちあげる計画があることが、「ウィキリークス」が公開した米国の外交文書で明らかになった。米CIAや英MI6といった機関をモデルにしているという。さらに、外交文書では「金正日総書記の性格についての最高の情報源は、元寿司職人」とも暴露。現時点での日本の情報機関の情報源の乏しさを改めて浮き彫りにした形だ。
歴代政権は「外交問題」を恐れて及び腰
外交文書の内容は、オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドや、メルボルンで発行されている系列紙「ジ・エイジ」が2011年2月21日に報じたもので、ウィキリークスが両紙に独占的に情報提供したという。
第二次大戦が終わるまでは、陸海軍の情報機関や憲兵隊などによる日本の諜報網が東南アジア、東アジア全域に張り巡らされていた。ところが、両紙によると、戦後日本の歴代政権は、外交問題になることを恐れて、外国を対象とした諜報機関を立ちあげることには及び腰だった。
だが、東京の米国大使館がワシントンに送った公電によると、08年10月、内調トップにあたる三谷秀史内閣情報官(当時)が、米国務省の情報調査局(INR)のランデール・フォート局長(当時)に対して「人的情報の収集能力」を高めることが最優先課題だと明かしたという。さらに、柳俊夫公安調査庁長官(当時)は、日本の諜報活動の最も緊急な課題は「中国と北朝鮮、テロ攻撃を防ぐための情報収集」だとフォート氏に明かしたという。これに対してフォート氏は、日本政府の高官に対して、日本の商社が世界中に張りめぐらせたネットワークの「活用されていない資産」を利用するように促したという。