鳩山由紀夫前首相が、米軍普天間基地の沖縄県外移設を断念した際に理由に挙げた「抑止力」について、「方便だった」と発言した。あまりの発言の軽さに、地元紙だけでなく、テレビコメンテーターからも「万死に値する」「引退すべきだ」と鳩山氏に対して激しい批判が浴びせられている。
「沖縄の人たちはどういう思いで(この記事を)読みましたかね」。情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系)司会のみのもんたさんは、2011年2月14日の放送で、鳩山発言を伝える沖縄タイムスと琉球新報の13日付1面を怒った様子で紹介した。
「理屈付けをしなければならなかった」
鳩山氏は両紙などとのインタビューの中で、09年5月の日米合意をめぐり、移設先が結局従来案通りの沖縄県名護市辺野古という情勢になった際に「理屈付けをしなければならなかった」などと答えた。
さらに在沖米海兵隊について、「存在することが戦争の抑止になると、直接そういうわけではないと思う」と持論を展開し、「海兵隊が欠けると(米軍)全てが連関している中で米軍自身が十分な機能を果たせないという意味で抑止力という話になる」「それを方便と言われれば方便だが」と話した。
鳩山氏は当時、「日米同盟関係、近隣諸国との関係を考えた際、抑止力の観点から難しいという思いになった」などと県外移設断念の理由を説明していた。
しかし、その「抑止力」が「(結論が出た後の)理屈付け」で「方便」だったと、当時首相だった人物があっけらからんとしゃべってしまったのだ。「これほど言葉の軽い政治家を見たことがない」――琉球新報社説は、鳩山氏に対しこうあきれつつ、政治不信を高めるとして「万死に値する大罪だ」と断じている。
「朝ズバ」では、TBS解説委員室長の杉尾秀哉氏が「(抑止力云々は)沖縄の人々を説得するためのウソだったということですよ」と解説し、「もう鳩山さんはしゃべんないで欲しい。安全保障が根本的に分かってない人」と話した。
国際金融アナリストの末吉竹二郎氏は、「彼は政治家を引退すべき」「政治家の資格ない」と続けた。また、学習院大の八塩圭子・特別客員教授は、鳩山氏が首相退陣時にも表明した「次回選挙に立候補しない」方針を撤回したことに触れ、「政権を揺るがすようなことばっかり言ってる」と、かつて鳩山氏本人が批判していた「首相経験者による影響力行使が政治を混乱させる」弊害を今や鳩山氏が体現していることを指摘した。