反政府デモが拡大するエジプトにいる日本人観光客らを出国させるため、日本政府が送った民間チャーター機の費用を、利用者から1人あたり「3万4000円」を徴収すると、前原誠司外相が発言したことが物議を醸している。
民間チャーター機は3機で、カイロ空港で足止めされていた463人がイタリアのローマ空港まで分乗した。外務省は、徴収する「利用料」はIATA(国際航空運輸協会)が定めるエコノミーの正規料金を参考にしつつ、チャーター機の費用(1機)7万7000ドルを搭乗人数(180人)で割って算出したとしている。
「徴収しないことがかえって不公平になります」
「チャーター機にかかった費用につきましては、乗られた方々から先ほど申し上げた金額(3万4000円)を徴収させていただいて、最終的に国庫に返納する」――。前原外相のこの発言に対して、ネットでは賛否両論の声が飛び交っている。
「当たり前でしょ。なんで数百人のために税金を使わないといけないの?」
「自己責任なんだから負担は当然でしょ。しかも、そんな法外な金額じゃないじゃん」
「気前よく外国にばらまく癖に国民からはとるのかよ。こんなの緊急避難なんだから無償でさっさとやるべきだろ」
といった具合だ。
外務省領事局邦人安全課によると、チャーター機の費用は「基本的に徴収が原則で、今回が初めてというわけではありません」と話す。
政府がチャーター機を送ったのは、記憶の新しいところで2004年のイラク人質事件がある。このときには3人が利用したが、外務省は「3人にはきちんと請求しています」と話している。ただ、請求金額としては数万円程度だったという。
また、その2年前に起こったインド・パキスタンでの核をめぐる緊張で、インドに取り残された邦人50人を、チャーター機を飛ばして成田まで運んだが、このときも「利用料」を徴収した。
今回はチャーター便と定期便の両方を使って全員を出国させる計画だったことから、3機のチャーター機を用意した。外務省は、「現地で航空券の手配や変更するなど、自分で費用負担をして出国している人がいるわけですから、徴収しないことがかえって不公平になります」と説明する。