10周年を迎える「東京国際アニメフェア」(実行委員長・石原慎太郎都知事)が揺れている。東京都の条例改正による「アニメ規制」への反発から出展を見合わせる企業が相次いでいるからだ。
出展企業は2010年から約4割減の153社、ブース数は約2割減の491――2011年1月25日に同フェア実行委員会が開かれ、現状が公表された。ブース数の減少は、2割とはいえ数にすれば124区画減となる。
角川書店など、同じ日に対抗イベント
問題は「数」の減少だけではない。不参加表明組の中には、人気漫画を抱える大手出版社で構成する「コミック10社会」もあり、「質」の問題でもあるのだ。講談社や集英社、小学館などが入る同10社会は、都の青少年健全育成条例改正の動きに反発して、10年12月10日に同フェアへの「協力・参加を断固、拒否します」とする緊急声明を連名で出していた。
10社会のうち、人気アニメ「らき☆すた」や「涼宮ハルヒ」のシリーズがある角川書店は、アニメ関連など9社とともに実行委員会を立ち上げ、同フェア(東京・江東区の東京ビッグサイト)の一般公開日と同じ日程の11年3月26日と27日に、千葉・幕張メッセで「アニメ コンテンツ エキスポ」というアニメイベントを実施する。日程を同じにするあたりに対抗意識が感じられる。
同エキスポの実行委によると、角川書店以外の10社会メンバー社に対しても、全社挙げての参加は無理だとしても個別に参加できる作品はないかと相談中だという。一方、同エキスポへの参加は「考えていない」と明かす10社会メンバー社もある。東京フェアに対し、エキスポが「10社会連合の対抗イベント」となるかどうかは未知数だ。
アニメファンの中には、東京ビッグサイトと幕張メッセをはしごする人もいそうだが、両会場で来場者数を競い合う構図にはなりそうだ。ちなみに、10年にあった東京フェアには13万2000人以上が訪れた。11年の目標は14万人と公表されており、今のところ不参加企業続出による下方修正は明らかになっていない。