芥川賞西村賢太ネットで大モテ 中卒フリーターの「ダメさ加減に親近感」

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   芥川賞を受賞した作家の西村賢太さんがネットで注目を集めている。中卒でフリーター、親子とも逮捕歴ありという経歴だけでなく、「友達が一人もいない」などと語った会見での様子が人気で、2ちゃんねるには「ダメっぷりに親近感が湧く」といった書き込みが目立っている。

   2011年1月17日、144回芥川賞が発表され、朝吹真理子さん(26)の『きことわ』と西村賢太さん(43)の『苦役列車』が受賞した。

「自分よりもダメな奴がいるんだと思ってくれれば」

   慶應大学大学院在学中で、父も文学者だったという「サラブレッド」の朝吹さんに対して、西村さんの経歴はかなり異色だ。

   東京都江戸川区生まれ、中学卒業後は日雇い労働をしながら生活していた。20代のころ、大正時代の作家・藤澤清造などの私小説に夢中となり03年からは同人誌で自身の作品を発表。しかし「作家になるつもりはまったくなかった」と過去のインタビューでは語っている。

   芥川賞は3度目のノミネートで受賞となった。会見冒頭で受賞を知った瞬間について聞かれ、「自宅で、そろそろ風俗いこうかなと。行かなくてよかった」と答え、笑いを誘った。

   受賞作は中学卒業後に家を出て日雇いで生計を立てる19歳が主人公。自身をモデルにした私小説だ。大きな影響を受けた藤澤清造には「自分よりダメなやつが、まだいるんだなと。そこで救われた」。自分の作品についても「読んだ人が自分よりもダメな奴がいるんだと思ってくれたら本当に嬉しいです」としている。

友達が一人もおらず、普段誰とも話さない

   小学5年生のころ、運送業者を営んでいた実父が事件を起こして逮捕され、母親と姉の3人で夜逃げした。「そういうことがあると、まともには育たないですよ。それが克服できずに負けたから今の僕がある」と過去に話している。会見では19歳より前のことを私小説として書かないのかと聞かれ、

「父親がちょっと非常に問題のある人物。ただ、まだ生きていて、死ねば僕の生い立ちなりも書けるんですが、真面目な話、30年たっても被害者の方がいる以上は消えない。ちゃんと更生はしてるんですが、いつかは書かなきゃいけないテーマだとは思う。父親が生きていようが死んでいようが」

   また、西村さん自身も暴行で逮捕され、留置場に入ったことがあるという。

   会見の様子はニコニコ動画でも生中継された。西村さんが画面に現れた直後から「経歴のすごい人きたーーー」「おれたちの西村さん」といったコメントが殺到。また、友達が一人もおらず、普段誰とも話さないと語ったときにも「俺もなんか書くか」「俺が受賞したみたいだ」などの書き込みが多数寄せられていた。

   2ちゃんねるにも「ダメさ加減に親近感が湧く」「純粋に憧れるわ。自分もニートなりに頑張る」といった書き込みがあり、西村さんに元気をもらった人が多くいたようだ。

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