東京湾の真ん中にある埋め立て地「中央防波堤」をめぐり、東京都江東区と大田区が「領土争い」を演じている。港湾施設建設をきっかけに再燃したもので、それぞれの「論理」を展開している。春の統一地方選で区長選も控えるだけに、双方一歩も引けないガチンコの争いが続く。
問題の土地は、中央防波堤に囲まれる「内側埋立地」と「外側埋立地」。江東区側はお台場から青海経由、大田区側からは城南島経由で、海底トンネルでつながり、一般車両も通行できる。
当初は中央、港、品川区も自分の行政区域だと主張
1973年から東京都がゴミの埋め立てを始め、現在の広さは約377ヘクタール、将来的には約989ヘクタールまで広がる予定。当初は、両区のほか、中央、港、品川区も、自区の行政区域だと主張。3区は2002年に主張を取り下げたが、江東、大田両区は引かず、行政区域が未確定のまま、現在は都立公園などの整備が進められている。
しばらく争いは表面化していなかったが、寝た子を起こしたのが国土交通省。2010年5月に内側埋立地の岸壁に新たに約1万3780平方メートルのコンテナ埠頭の建設計画をぶち上げ、帰属問題が再燃。コンテナ埠頭建設に当たり、港湾管理者である都が両区に意見を求めたのに対し、両区がそれぞれ「自区のもの」との意見書を出した。
江東区は2010年9月28日、「歴史的経緯を踏まえれば、本区へ帰属することが当然」とする意見書案を区議会に提出。江東側から先にトンネルで結ばれたため、埋め立てに使ったごみの焼却灰や建設残土などの大半は、江東区を通って運ばれてきたことから、「渋滞や騒音にも長年耐えてきた」と訴える。