米国の機密文書を公開してきた内部告発サイト「ウィキリークス」をめぐる動きが活発化している。同サイトが利用しているサーバーを運営している会社が、ウィキリークスを事実上「追放」したほか、電子決済サービスも同サイトへの送金停止を発表。強姦の容疑で国際手配されている創設者のジュリアン・アサンジ氏は、生命の危険を感じていることも明らかにしている。
ドメインはスイスに移転
一連の動きが起こったのは、2010年12月3日だ。同日正午ごろ、ウィキリークスのサイトにアクセスができなくなった。原因は、同サイトのインターネット上の住所にあたる、「wikileaks.org」というドメインを管理している米「エブリィDNS」社が、ドメインを使用できなくしたことにある。エブリィDNS社では、「同社のサイトに大量のデータを送りつけるサイバー攻撃があり、このままではサービス全体に影響が出る」などと説明。
だが、ウィキリークス側の対応も早かった。日本時間18時頃には、ツイッター上で「wikileaks.ch」という新たなスイスのドメインでの運用を始めたことを報告している。
さらに、ウィキリークスは、米アマゾン社のサーバーの上で運用されていたのだが、12月2日には、アマゾンから「追放」の憂き目にあっている。これは、米議会の要請の応じて行った措置だとみられるが、アマゾンは、
「ウィキリークスは、利用規約に複数の点で違反している。例えば、『利用者は、全てのコンテンツを所有・またはコントロールしていることや、コンテンツが人や組織を傷つけないことを表明・保証しなければならない』が、ウィキリークスが、この機密コンテンツを所有したり、権利をコントロールしていないことは明らかだ」
と主張。だが、ウィキリークス側は、やはりツイッター上で
「アマゾンの発表は、公の記録に残っている事実と一致しない」
と反論。その上で、サイトをスウェーデンやフランスの会社が運営するサーバーに移転した。だが、フランス政府は、国内のインターネットサービスを管轄する機関に、ウィキリークスへのサーバー提供を禁止するように要請。ウィキリークスが再び「引っ越し」を迫られる可能性もある。