米外交の機密文書25万点をインターネット上で公開し始めた内部告発サイト「ウィキリークス」。事前に世界の主要紙に機密のデータを渡したため、各国で大々的に報じられた。
ところが、メディアの中に米ニューヨークタイムズ紙(NYT)は含まれていなかったようなのだ。実はNYTが、以前記事でウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏をこき下ろしており、それが原因ではないかといわれる。当のアサンジ氏は、強姦の疑いで国際手配される身となったが、その素顔はどのようなものなのか。
「仲間に見捨てられつつある」
米ワシントンポスト紙(WP)は2010年11月29日、「ニューヨークタイムズを袖にしたウィキリークス」という記事を掲載した。それによるとウィキリークスは、入手した米外交公電25万点の提供先からNYTを除外したという。このためNYTは英ガーディアン紙に情報協力を依頼し、紙面に間に合わせたとしている。
ウィキリークスは11月29日、公式ツイッターに、ガーディアンや仏ルモンド紙などと並んで、NYTが「米外交公電に関する記事を掲載した」と投稿した。だが実際は、NYTは「別ルート」からの入手に頼らざるを得なかったわけだ。WPの記事では、NYT編集部のコメントを紹介。なぜNYTが外されたのか理由は思い当たらないとしながらも、同紙が掲載したアサンジ氏に関する記事が影響しているかもしれないと述べたという。
問題の記事は、ウィキリークスがイラク戦争に関する機密情報9万点を公表した直後の10月23日付。NYTの記者が、多数のウィキリークス関係者に取材してアサンジ氏の人物像に迫ったものだが、内容は辛らつだ。天才ハッカーの評価が高い一方、横柄で独善的な態度のせいで仲間たちに見捨てられつつあるとした。
活動を共にする一人が、アサンジ氏の判断内容について疑問を呈すると、罵るような口調で「オレはウィキリークスの心であり魂だ。オレがイヤなら組織を出て行け」と聞く耳を持たなかったという。最近になって、十数名のボランティアスタッフがアサンジ氏に幻滅してやめていったとの証言もあるようだ。