日本ダメなら中国・東南アジア キャリア求める若者の海外流出

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   日本を出て中国やシンガポールなどのアジア圏で働こうとする20~30代の若者が増えている。厳しい国内の就職事情から、卒業後いきなり海外で働こうとする学生もいて、中国・東南アジアが就職先やキャリアを求める日本人の受け皿になりつつある。

   アジアでの求人情報を提供している「空カモメ」の運営する中国就職情報サイト「カモメ中国転職」。当初は上海に住み始めた同社代表のブログだったが、個人運営で求人掲示板をはじめたところ反響があり、04年に本格的な就職情報サイトとしてスタートした。

日系企業向け、外国語必要ない仕事も

   同社によると、現在月平均30万PV。08年のリーマンショック以降の伸びが顕著だという。09年には5000件の求人情報を掲載した。

   求職者の内訳は、20代から30代前半の若い層が半数で、女性も多い。前職は飲食店や旅行代理店、ホテルなどのサービス業から、SE、プログラ マーなどのIT系までと様々だ。経済発展目覚ましい中国での勤務経験が将来のキャリアアップにつながると考える人や、旅行の延長気分でとりあえず 1~2年働いてみようと気軽に考える人もいるという。

   同サイトで扱う中国での日本人向け求人は、7割が中国進出した日本企業の現地法人だ。日本食店の運営や、アパレルの物流管理、日系幼稚園の事務 など多岐にわたり、日系企業向けの営業や日本向けコールセンターなど、外国語があまり必要とされない仕事もある。

   生活費が安いのも魅力となっている。日本人向けの仕事は、給料が月1万元(約12万5000円)前後が多いが、生活費が比較的高いとされる上海 でも1人なら月7000元ぐらいで生活できる。距離も近くて気軽に行き来できる中国が「なんとなく海外で働きたい人」の受け皿になっているという。

シンガポールやインドネシアにも

   人材会社パソナグローバルが9月、中国での就職に興味がある人を対象に行ったセミナーには、当初の予想を越える200人が参加。30代が多かったが、学生も約2割いて、盛況だったという。

   中国以外の東南アジア圏に就職しようという若者も増えている。女性向けの海外キャリア支援を行っているCTS東京によると、09年頃から、シンガポールやインドネシア、フィリピンなどの東南アジアでの就職や有給インターンを希望する学生が急増。海外エアラインの客室乗務員や外資系ホテルなど、ホスピタリティ業界を志望する人が多いという。

   同社代表の滝川奈穂さんは、

「当初は20~30代の、ある程度キャリアのある人を想定していたのですが、国内での就職も厳しいこともあって、大学4年生が『国内でキャリアが望めなかったら海外へ』と応募するケースが多いです。フィリピンやインドネシアで5つ星外資系ホテルとかだったら、キャリアとしては日本で就職するよりいいかもしれません。生活費も安いし気候も温暖で、気持ち的にも余裕がありますよ」

と話している。

   日本総研が09年に発表したレポートでは、日本人の国外流出数は、07年10月~08年9月の1年間で10万人を突破。20代から40代など若い世代が中心で、最近の若者の内向き志向が話題になる中、過去20年間で最大だったという。

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