サムスン電子でさえテレビ事業部門が営業赤字
「年間2割程度は価格が下落する」(パナソニックの大坪文雄社長)ことは各社も見込んでいるが、最近はさらに下落が進み、前年同月で比べた国内の1台当たりの平均価格は3割近く下がっている。下落に歯止めをかけることを期待された3D(三次元)映像に対応したテレビも例外ではなくなり、4~5月の発売直後に30万円台だった平均単価は10月には20万円を切る水準にまで下がった。
欧米で需要が弱含んでいることも痛手だ。米調査会社ディスプレイサーチによると、米国のテレビ市場は販売台数ベースで、5月から小幅ながら前年同月比割れが続いており、4~6月は前年同期比で3%程度減少した。米国でも価格下落は進んでおり、量で稼げなければ利益を圧迫する。このため、今や世界王者の韓国サムスン電子でさえ、7~9月期連結決算でテレビの事業部門が営業赤字に陥った。
また、国内では駆け込みでバカ売れとはいえ、新たに生まれた需要ではなく、明らかに先食いだ。2011年3月のエコポイント終了、7月の地上デジタル放送への移行前の計2回の駆け込み需要の「ヤマ」はありそうだが、その後についてはメーカー、量販店ともに大幅な減少を見込んでいる。稼げなくなったテレビをどうするか、各社とも中国やインドへの生産の「新興国シフト」を加速させるが、明るい展望までは描けないのが実情だ。