「輸出ダメなら国が立ち行かなくなる」
一方で、古い体質が女性の社会進出をはばんでいるかについては、一概には言えないようだ。むしろ日本のように、育児と仕事の両立を支援するような環境が整っていないことが問題だと安倍氏は考える。
輸出頼みの経済構造は、韓国の市場規模が小さいことから考えて今後も変わりようがないと安倍氏は指摘する。そのために、国内の農業を「犠牲」にしても米国やEUとのFTAに乗り出したのだという。
人口が比較的多く、国内需要にある程度期待が持てる日本と比べて、韓国は輸出ヘの依存がずっと高い。「輸出が落ち込めば、国が立ち行かなくなる」という切迫感が非常に強いのだ。そのうえ1997年のアジア通貨危機で、IMF(国際通貨基金)から支援を受けるほどの打撃を受けた経験があるだけに、積極的に国を開き、外に打って出る戦術を取らない限り生き残れないと国民は危機感でいっぱいのようだ。
直近の2010年10月の輸出額は、前年同月比29.9増の441億ドルとなり、過去最高額となった韓国。「ここ2、3年の対ドル、対円ベースでのウォン安が大きな効果を上げている」(安倍氏)。ジリジリとウォン高に移行しつつあるものの、サムスン電子やLGなどの製品は、世界市場では価格面以外での「ブランド力」が認知されてきており、「輸出が極端に減ることはないでしょう」。
とは言え、長期的なスパンで考えた場合は不安材料も残る。少子化問題などは根本的な解決が必要であり、FTAも米国とG20の席上で最終合意に至らなかったなど、未知数な部分も多い。WSJの「懸念」を払拭できるような経済の強化策が打ち出せるかが見ものだ。