ソニーの携帯デジタル音楽プレーヤー「ウォークマン」の新製品が、発売延期になった。注文数が想定を大幅に上回ったことが理由だという。
この製品分野は、長らく米アップルの「iPod(アイポッド)」の独壇場だったが、2010年8月の国内月間販売台数でウォークマンが首位に立ち、巻き返しを見せる。「復活」は本物だろうか。
ソニーは技術をつぎ込んだと胸を張る
ソニーが発売延期を決めたのは、ウォークマンの「Eシリーズ」と呼ばれる製品群の中の2モデル。広報センターによると、「注文の数が生産見込みを大幅に上回ったため、十分な供給量が確保できるまで延期することを決めました。申し訳ありません」と平身低頭だった。
ソニーは携帯デジタル音楽プレーヤーで長い間、米アップルに圧倒されてきた。家電・デジタル製品の比較サイト「BCNランキング」によると、アップルは2002年8月から約8年にわたって、国内月間販売台数シェアで首位を走り続けてきた。だが、09年ごろから徐々に差は縮まり始め、いったん差が開いたが10年8月にはとうとうアップルを追い抜いてしまったのだ。この月は、iPodの新製品が発売直前だったという事情もあるが、8年間も牙城を崩せなかったソニーにとってはようやくつかんだ勝利といえよう。
ウォークマン支持派は、音質のよさを挙げることが多い。ネット掲示板には「ipodとウォークマン持ってるけど確かにウォークマンのほうが音質いいよ」といった書き込みも少なくない。ソニーも、「高音質の製品をつくろうと技術を注ぎ込んできた」(広報センター)と胸を張る。
だが、「まぁ音は好みもあるしな」と、音にこだわらない意見も多く見られた。カカクコムでは、ウォークマンとiPodの音質を徹底比較した内容をサイトで公表している。ウォークマンは、「音のキレ」や「複数の音が重なってもそれぞれの細部が聞こえやすい」という特徴があり、ロックなどに向いている一方、「音質のよしあしの判断は好みの問題が大きい」としている。