障害者団体向け郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で、大阪地検が事件関係者から押収したフロッピーティスクの日付データを、事件を指揮していた主任検事が改ざんしていた疑いが浮上した。
事件をめぐっては、偽証明書の発行に関与したとして逮捕・起訴された厚生労働省の村木厚子元局長(54)に一審の大阪地裁で無罪判決が言い渡されている。今回の資料改ざんが事実だとすれば、検察の捜査手法に対する批判が、さらに高まることになりそうだ。
朝日新聞が2010年9月21日朝刊の1面・社会面トップで報じたところによると、改ざんの疑いが持たれているのは、村木元局長の部下の上村勉被告(41)の自宅から押収されたフロッピーディスク(FD)のデータ。FDには、自称障害者団体「凛の会」が、障害者団体向けの割引適用を不正に受けるための偽の証明書のデータが入っていた。
「6月1日」のデータの最終更新日時が「6月8日」に
朝日新聞が東京の情報セキュリティー会社に解析を依頼したところによると、本来は「04年6月1日」であるはずのデータの最終更新日時が「6月8日」に書き換えられていたという。データが書き換えられたのは09年7月13日午後だったという。
検察側は、「村木元局長が6月上旬、上村被告に対して偽の証明書の作成を指示し、その後、上村被告は偽の証明書の作成を進めた」との筋書きで捜査を進めているとみられ、「6月1日」という証明書データの日付は、この筋書きと矛盾するものだった。
FDは09年5月26日に押収され、7月16日付けで上村被告側に返却。公判に証拠として提出されることはなかった。