ソニーの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」の日本国内販売台数シェアが、2010年8月に米アップルの「iPod(アイポッド)」を逆転し首位に立った。民間調査会社BCNが家電量販店の調査を始めた2001年11月以来、月間販売でソニーの首位は初めて。
ただ、アップルは全面刷新したiPodを9月上旬に発売するため「1カ月天下」を指摘する向きもある。一方、両社は海外でのネット配信サービス強化を相次いで発表しており、ここへきてハード、ソフト両面の競争が激化している。
音質向上させたウォークマンの支持が広がる
ソニーのウォークマンは1979年の発売以来、歩きながら聞くという独創的な発想やデザインなどが国内外に浸透し、ブランド力のある一大音響製品群に成長した。しかし、携帯音楽プレーヤーがカセットテープやMD(ミニディスク)に録音した音楽を再生する段階から、音楽自体をデータとしてどんどん取り込む時代に移るなか、圧倒的な曲数を誇る音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」と一体となったiPodが2001年の投入以来、市場を席巻した。日本国内でも一時はiPodの販売台数シェアが8割を超える時期もあるなど、ウォークマンは後塵を拝す状況が続いた。
しかし、最近1~2年、特にソニーのブランド力が強い国内では、主力機種が2割程度安く、「音楽専用」を打ち出して音質を向上させたウォークマンの支持が広がった。シェアも徐々にばん回し、8月にはついに逆転した。
とはいえ、首位を維持できるかどうかは楽観できない。アップルが発表した新たな主力機種「iPodナノ」は、従来品の約半分の大きさで、最近流行している画面を触って操作するタッチスクリーンを採用。価格は8ギガバイトのモデルで1万3800円と旧モデルより1000円値下げした。