「中国の人民元の為替レートにあまり関心を持ち過ぎると問題を複雑にする。中国の為替レートの構成要素には大きなゆがみがあり、為替変動によって輸出入に短期的な影響は出るだろうが、(長期的に見れば)輸出入の不均衡是正につながるとは思わない」
中国人民銀行の元副総裁で中央銀行貨幣政策委員、中国銀行連合総裁などを務める蘇寧氏は2010年8月30日、東京都内で開いた認定NPO法人言論NPOと中国日報社(China Daily)共催の第6回東京―北京フォーラムで、中国人民元の為替政策の在り方についてこう語り、人民元を切り上げても米国向けの輸出は必ずしも減らないとの認識を示した。
中国政府は中国製品の輸出攻勢に悩む米国の強い要求もあって2010年6月から従来のドル連動の事実上の固定相場制を、バスケット方式による弾力的な為替政策に切り替え、事実上の切り上げを実施した。しかし為替変動は必ずしも人民元高一途とはなっておらず、蘇元副総裁はこうした動きを検証した上で発言したものだ。