夏の国内観光地としてかつて人気だった沖縄が今、観光客離れに喘いでいる。ホテルは稼働率が低下して、客単価も減り、売上高が下落。観光地としての魅力に陰りが出たせいで地価も下がっている。沖縄はもうだめなのか。
09年に沖縄を訪れた観光客は、前年度を4.1%(24万4300人)下回る569万人で、8年ぶりに前年実績を下回った。08年秋からの世界的な景気悪化で旅行マインドが減少したことや、09年前半の新型インフルエンザが影響した。下半期は円高基調による海外旅行の割安感が増し、高速道路料金が値下げされて安・近・短志向が高まり、東京や関西方面からの観光客が減った。
観光収入、ホテル稼働率、いずれも前年下回る
このため、沖縄経済を支えている観光収入も減った。09年度の観光収入は前年度より12.1%(520億5000万円)減って、3778億3200万円だった。観光客が減少したほか、観光客1人あたりの県内消費額が、前年度比8.4%(6055円)減の6万6403円だったことも響いた。
消費額の多くを占めるのが宿泊費だ。ホテルも大きな打撃を受けている。沖縄振興開発金融公庫企画調査部が実施した「09 年度県内主要ホテルの稼働状況に関する調査」によると、都市部にあるシティホテルは稼働率が67.6%、リゾートホテルは67.5%となり、ともに前年度の稼働率を下回った。一方、料飲設備などをなくした宿泊特化型ホテルの稼働率は58.5%で、前年度をわずかに上回った。客単価はいずれも前年度を下回り、シティホテルが1万2085 円、リゾートホテルは2万1968 円、宿泊特化型ホテルは6562 円だった。
売上げも落ち込んだ。シティホテルの平均売上高は、前年度比9.8%減の20億7400万円、リゾートホテルは同比13.8%減の28億1000万円、宿泊特化型ホテルは同比5.9%減の1億9100万円だった。調査対象は県内のホテル38 軒。1施設当たりの平均客室数は228 室、1施設当たりの平均定員数が485 人。
また、朝日新聞は8月3日付けの記事で、リーマンショック前に約4200億円にのぼるホテル開発計画があったが、リーマンショック後、実際に着工されたのは4分の1程度にとどまったと報じている。