代替医療のホメオパシーを進める団体が、医師免許がなくても治療はできるなどと、サイト上で新聞報道に反論している。こうした主張は、どれだけ根拠があるものなのか。
「限りなく薄めた毒飲み『治癒力高める』」
「ホメオパシー実態調査 助産師会乗り出す」
「当該記事は確かな取材に基づいて掲載したものです」
朝日新聞の2010年8月5日付朝刊の社会面トップに、こんな大きな見出しが躍った。
ホメオパシーとは、昆虫や植物、鉱物などを溶かした「毒」を水で薄めて振る行為を繰り返し、これを砂糖玉にしみ込ませて飲む民間療法を指す。記事では、この療法を巡って、山口市で起きた助産師による乳児死亡のようなトラブルが起きていると指摘。科学的な根拠ははっきりせず、日本助産師会が、ホメオパシーを使う助産師がどのくらいいるかなどの実態調査に乗り出したことを報じている。
これに対し、異論を唱えたのが、記事中にもある日本ホメオパシー医学協会だ。山口市の乳児死亡に関する、朝日を含めた一連の報道について、「予断をもったマスコミの報道姿勢に基づく一方的な内容の記事には、大きな問題」と指弾したのだ。
朝日の記事については、具体的な内容についても反論している。助産師会が通常の医療を否定しないよう協会側に申し入れたという点は、事実でないと指摘。この内容では、通常医療を否定していないのにそう受け止められるともした。また、薄めた毒を飲むとの点については、毒があるものもあるが、最終的には無毒化していると反論し、分子レベルで毒はほぼ残っていないという点は、1分子も残っていない、としている。
こうした主張は、本当に理由があるのか。
しかし、朝日新聞社の広報部に取材すると、コメントは明確だった。「当該記事は確かな取材に基づいて掲載したものです」というのだ。