薬事法の改正を機に、コンビニで医薬品が扱えるようになって1年が経つ。だが、コンビニ最大手チェーンでも、実際に医薬品が売られている店舗数は、まだ数十店舗にとどまっている。販売に必要な「登録販売者」の育成がネックになっているためで、各コンビニは、薬局チェーンと提携するなどして活路を見いだそうとしている。
セブン-イレブンで医薬品扱うのは30店舗
2009年6月の改正薬事法の施行で、コンビニやスーパーでも、「登録販売者」を置くなどの条件を満たせば、市販薬のうち比較的リスクの低い「第2類」、ビタミン剤などの「第3類」が販売できる仕組みだ。
セブン-イレブンが施行直後の6月1日に麹町駅前店(東京都千代田区)の店舗で24時間販売を始めたほか、他チェーンも続々と参入している。だが、セブン-イレブンの親会社にあたるセブン&アイ・ホールディングス(HD)の広報センターによると、全国に1万3000近くある店舗のうち、医薬品を扱っているのは、わずか30店舗。しかも、そのうち20店舗は、元々薬局だった店舗がセブン-イレブンとフランチャイズ契約して「衣替え」した店舗で、09年6月以前から薬剤師が医薬品を販売している。09年6月以降に登録販売者を置いて医薬品を販売している店舗は、わずか8店舗だ。
セブン&アイHDでは、
「医薬品に対するニーズは高いですし、品揃えを充実させる意味でも、じょじょに増やして行きたい」
としているものの、
「これといった(店舗展開の)目標数はありません」
とも話す。その背景にあるのが、登録販売者の育成の難しさだ。登録販売者になるためには、都道府県の試験に合格する必要があるが、薬剤師のもとで1年以上の実務経験を積まないと、試験を受けることすらできない。同社では、
「『規制緩和』と言われても、やはりハードルは高いと感じています」
と嘆いている。