首都圏「郊外」の住宅地価上昇 「一戸建て」購入ニーズ高まる

年収800万円前後のアッパーミドルが後押し

   東京カンテイ市場調査部の中山登志朗・上席主任研究員は、「いま住宅を購入している人は年収800万円程度のアッパーミドルといわれる人。住宅ローン減税が500万円まで使えることや、住宅ローンも低金利で、しかも審査に問題があるような人ではないので優遇金利が使えるなどメリットが大きい。こうしたことが一戸建ての購入を後押しして、都心近郊の地価を上げている」と話す。

   キーワードは「値ごろ感」だ。2009年に価格が下落していたことや、都心に比べて手ごろな価格帯であることで買いやすくなった。坪100万円以上の物件では5000万円~6000万円、坪100万円未満では4000万円~2000万円に「照準」があたっている。

   前出の中山氏によると、「交通の便がよく、居住性がよいエリアや物件には限りがある。マンションもそうだが、一戸建て住宅もいい物件は希望者が集中して、即日完売もある」という。半面、エリアや物件によってはさっぱり売れず、明暗がはっきりする傾向にある。

   とはいえ、地価がこのまま上昇していくわけではない。「住宅は大きな買い物。ふつうは景気が回復して、給料が上がっていかないと、買おうとは決断できない。都心近郊が上昇したといっても、まだまだ予断は許さない」(中山氏)とみている。

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