編集長からの手紙
J-CASTニュース創刊4周年、時代の風を受ける

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   J-CASTニュースは10年7月26日に4周年を迎え、5年目にはいった。読者数の伸びは創刊時に期待した以上であり、ページビューは月間5000万。新興メディアとしての知名度、ブランドもできてきた。編集方針の「1.5次情報ニュース発信」も変わっていない。新聞・テレビの速報、雑報を1次情報、週刊誌などの狙いを定めた記事を2次情報とすると、視点を持った記事を素早く、コンパクトにまとめるのがJ-CASTニュースだと考えた。

   この間、編集部は大きく変わってきた。編集長の権限と責任をはっきりすることで、記事の優先順位をつけているが、最初はこれを実現するのがたやすくなかった。数人の寄せ集め記者、編集者が毎日、ネタを探し、編集方針に合わせて記事を作る。編集長は毎日、「これじゃ、だめじゃないか」「聞いたまま書くな。考えろ」と怒鳴っていた。一方で、メディアにとって重要なのは、経営的に成り立つことである。投資期間が短く、早く黒字になってほしい。採算が取れることが必須で、編集部は支出を最小限に抑えることにも甘んじてきた。

   創刊2年で黒字化し、編集部員も10数人、編集補助、外部ライターを含めると、小さな週刊誌程度の体制である。しかし、財政規模は週刊誌ほどではないから、経済的に効率的な編集を続けている。内容的には、独自ネタが多くなってきた。目をつけて記事にしたネタが、新聞やテレビ、週刊誌に出てくることが頻繁にある。編集長の怒鳴り声は、今も時折あるが、叱る内容が変わった。視点の絞り方への注文が多い。

   朝日新聞(10年7月21日朝刊)で外岡秀俊編集委員が西垣通・東大教授の指摘を引用している。ネットの民意は「最大瞬間風速」だという。実感として、私もそう思う。ネット内には、瞬間風速的情報は星の数ほど転がっている。J-CASTニュースはその瞬間風速情報から1.5次の記事に編集することもやっている。ネット情報は、利用者に情報の選択が任されているのだから、議論や意見が瞬間風速的でもよい。2ちゃんねるが瞬間風速的でも構わない、と思う。

   むしろ、テレビや新聞、既存のメディアに瞬間風速的な情報があふれているのはどうしたことなのか。先の参議院選挙で菅直人首相の発言はまさに瞬間風速的だが、テレビ討論では各党とも勝手で無責任な瞬間風速討論をやっているように、私には見えた。キャスターやコメンテーターも風速を競っていた。頻繁に行われる世論調査にもその側面がある。新聞、テレビなどの既存メディアは、一方的にやってくるプッシュ型ポータルメディアの性格をもつ。情報を自分で選択するプル型のネットメディアとは違う。瞬間風速で茶の間に吹き込んでこないでほしい。

   以上、辛口の感想は自戒を込めた決意です。J-CASTニュースは広義のSNS(ソシアル・ネットワーキング・サービス)で、読者のコメントが記事を深め、補足している。ひとつひとつが瞬間風速情報でも、メディアとしては大きな時代の風であることを目標にしている。

J-CASTニュース発行人 蜷川真夫

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