地域の顔となる秋田駅前で、中心商店街の衰退が進んでいる。商店街振興組合が解散し、アーケード撤去が決まるなどしているというのだ。こうした事態は、東北では秋田だけというが、なぜなのか。
商店街があるJR秋田駅西口は、中央通から駅前に来て、大きな県道の広小路にUターンして抜ける道になっている。どちらも一方通行であるからだ。
イトーヨーカドーが10月中に撤退すると表明
ところが、秋田商工会議所の関係者は、こうぼやく。
「最近は、単なる通過道路みたいになっているんですよ。車で来ても、シャッター通りになっているからです。その代わりに、郊外にある大型店に客足が流れています」
駅前では、2010年3月に中央通商店街振興組合が解散した。店じまいが相次いで組合員が減り、主要事業の共同駐車場を売却。その結果、組合の意義がなくなったからだ。
さらに、今度は広小路商店街振興組合が、7月14日の理事会で、6か所、計300メートル以上あるアーケードを撤去することを決めた。アーケードといえば、商店街のシンボル的な存在だ。組合は、その維持管理が主要事業のため、解散も検討されている模様だ。
駅前の別の振興組合では、毎年行っている夏のカーニバル縮小も検討している。その核となるイトーヨーカドー秋田店が10月中に撤退すると表明し、その協賛金が出なくなるためだ。
なくなったデパートや商店の跡には、全国チェーンのビジネスホテルや居酒屋が次々に進出している。駅前は、17年連続で路線価が下がっており、土地が安いため低価格でも利益を上げられるためだ。その代わりに、地元の商店は次々に消え、秋田らしさが急速に失われている。
秋田市「行政の責任ではない」
なぜ、秋田駅前の商店街が、ここまで弱体化してしまったのだろうか。
もちろん、郊外の大型店に押されたり、長引く不況が影響したり、他県でみられる事情もある。それに加え、秋田ならではの事情としては、行政による街作りの失敗が大きいというのだ。
広小路商店街振興組合の佐々木清理事長は、こう明かす。
「国の公団が所有地を売却したのがきっかけで、郊外に、東北で最大規模の巨大なショッピングモールができました。商業統計から秋田市の商業が壊滅すると予想されていましたが、結果は予想通りになったということですよ。商店街は、遠方からの買い回り客が多いので、結果として、かなり客を取られました」
商店街は、様々な種類の店があって成り立っており、歯抜け状態になって魅力がなくなってしまったという。組合は、アーケード撤去後は、イベントなどを運営し、まだ解散するかは未定だとした。佐々木理事長は、「合同の商店街組織を作るなどして、元気な街を何とか残していきたい」と言う。
街作りが失敗したのは、行政のせいなのか。
秋田市の市勢活性化推進本部では、こう反論する。
「巨大なショッピングモールは、1つの要因ではありますが、直接的な原因ではないと思います。一概には言えないということです。ですから、行政の責任ではありません。駅前の中心市街地については再開発事業を進めており、これがうまく進めば、にぎわいを取り戻せると思っています」
ただ、この事業は2010年10月に着工予定だが、キーテナントについてはまだ発表されていない。