東京地検は2010年6月15日、臨時に記者会見を開き、東京都江東区の建築金物製造会社の代表取締役の男(47)を法人税法違反の容疑で逮捕したと発表した。記者クラブに加盟していない記者でも参加できる「オープン会見」に移行してから2度目の地検会見で、定例会見以外の「臨時会見」としては初めて。記者からは、臨時会見を開いた理由や容疑事実に関する質問が相次いだが、佐久間達哉特捜部長は「答えは差し控えたい」との答えを連発した。
発表によると、男は会社の業務に関連して、同社の名義でない預金口座を使って債権を回収。07年8月期の債権回収益など約6億5200万円の所得を隠し、法人税約1億9500万円を脱税した疑いが持たれている。
約50人の記者が参加
今回開かれた「臨時会見」は、「重大事件の逮捕・起訴・判決時など、必要に応じて開催する」とされているもので、「オープン化」以降開かれるのは初めて。記者クラブに加盟していない記者8人を含む約50人の記者が出席した。
佐久間特捜部長は、臨時会見を開いた経緯について
「当庁(検察)で(容疑者の)身柄をとって強制捜査を行ったということで、それに対するチェックの機会を提供するという意味があった。(警察を通さない)独自捜査で検察が逮捕するということで、その重みを考えた」
と説明。その一方、
「回収したのはどこからの債権なのか」
「犯行に使われた『借名口座』とは、誰のものなのか」
といった事件の内容に関する質問には、債権については
「下請けからのものではない」
とは述べたものの、
「現時点では申し上げられない」「答えを差し控えたい」
といった答えを繰り返した。さらに、容疑者が容疑を認めているかどうかについても、
「その心は、被疑者または弁護士が明らかにすべきこと。明らかにするのであれば、彼らの言葉で明らかにすべき」
と、やはり説明しなかった。