普天間移設問題を巡る迷走などで「危険水域」の運営が続く鳩山政権。2010年7月11日投開票の公算が高い参院選を目前に控えて、民主党内では「大敗」予測も流れ、「このままでは戦えない」と改選議員らから悲鳴が上がっている。
2010年5月26日にあった民主党参院議員総会では、参院選改選組を中心に不満の声があふれ出た。小林正夫・参院議員は、「民主も鳩山もダメだ、という声が圧倒的に多い」と総会で訴えた。ほかにも「政治と金の問題も対応してもらいたい」などの訴えが相次いだ。
「30台後半しか取れないのではないか」
小林議員は翌27日にも自身のサイトで「総会で厳しい状況を訴える」との見出しで、「『党全体がもっと危機感を持って取り組んで欲しい』と強く要望しました」と報告した。ほかの改選組もサイトで、「在京の新聞記者から連絡が入り、党内野党的な立場を打ち出さないと、民主党現職は厳しい情勢だとの忠告もされました」(郡司彰議員、5月18日)、「小沢幹事長の問題と鳩山首相の指導力について、国民は怒りと失望がマグマのように鬱積している」(増子輝彦議員、5月6日)などとSOSを発信している。
党内には厳しい票読みが流れているようだ。民主党の玄葉光一郎・衆院財務金融委員長は5月19日、執行部が現状のままなら民主党の議席は「30台後半しか取れないのではないか」との見方を示した。同党の新人議員らとの会合の席で語ったものだ。最新号の週刊文春(6月3日号)も、「『党が参院選の世論調査を行ったのに(略)』(民主党関係者)」「世論調査の結果たるや惨憺たるもので、40議席を割り込むという」と報じている。
7月参院選の改選数は121(選挙区73、比例48)。民主党の「非改選」は62議席で、単独過半数には60議席が必要だ。民主の改選数は54議席。6議席伸ばさなければいけない、という訳だ。「連立与党」で見ても、社民・国民新の両党が改選議席数を維持すると仮定すると、過半数確保のためには49議席前後は獲得しなければならない。「40議席を割り込む」ようでは「大敗」となってしまう。ちなみに、週刊ポスト(5月7・14日合併号)では、民主の予想獲得議席数は「54」だった。
支持率は「危険水域」続く
内閣支持率の続落傾向も止まらない。読売新聞では24%(5月10日朝刊)、朝日新聞21%(5月17日朝刊)、毎日新聞23%(同)と、いずれも30%割れの「危険水域」だ。5月14日に時事通信が報じた数字は19%で、ついに20%も割ってしまった。7月参院選での比例代表の投票先の世論調査を見ても、民主党に入れると答えた人は、読売は19%(「自民に」は13%)、朝日24%(自民19%)、毎日22%(自民18%)で、横ばいの朝日以外は、約1か月前の調査時より数字を下げている。
普天間問題を巡る鳩山首相の「5月決着公約違反」による辞任説はうやむやになった。首相は6月以降も辞める気はなく、党内からも「鳩山降ろし」の動きは出て来ない。小沢一郎幹事長の資金管理団体を巡る「政治と金」の問題も、くすぶったままだが「辞職」の話は聞こえてこない。
前回好評だった「事業仕分け」の第2弾が5月25日に終わったばかりだが、支持率の大幅回復に寄与するほどの熱気は見受けられない。民主党がよみがえる「妙手」はあるのだろうか。