メークの低年齢化が進み、マスカラやリップグロス(つや出し用口紅)といった、目もと口もと用ポイント化粧品を使う小学生も出てきた。小中学生向けファッション誌の影響や、お小遣いで買える安いコスメが登場し、気軽に化粧を始める子どもが増えているようだ。
Q&Aサイト「教えて!goo」に娘(14歳)のメークについて、父親が悩みを2010年5月10日に書き込んでいる。13歳になってから化粧をするようになり、「スナックのお姉さんと比べても同等かそれ以上の化粧」で、元の顔がわからないほど濃いメークらしい。何回も注意しているが、母親は「若いときに好きなことをしたほうが良い」とか「化粧ぐらい他の子もしてるんだから」と寛容だ。
「リキッドアイライナーでおすすめなのありますか?」
ところが回答欄には「私は16なのですが、14ですでに化粧をしていました」と書き込まれている。また、学生が集まる掲示板サイト「キャスフィ!」には、メークに関する中学生の書き込みが相次いでいる。
「きれいに細くひけるリキッドアイライナーでおすすめなのありますか?」(10年3月)「私は、最近つけまつげに興味ありです!」(4月)といった具合だ。
小学生からメークしているという書き込みもある。「小六でーす? ウチは(まつ毛にカールをつける)ビューラー、リップ透明マスカラヤってます」(09年10月)、「あたしは小5で黒マスカラ、ビューラー、薬用リップ、透明グロスだけやってます 今日初めてつけま(つけまつ毛)やった! 目でかに見えていい」(09 年10月)などと書き込まれている。
肌表面に塗るファンデーションは使わずに、マスカラやリップグロスを使った目もと、口もとのポイントメークが主流のようだ。ただ中には、小学5年生で上下につけまつ毛、アイライン、アイブロー(眉墨)、グロス、マスカラ、カラーコンタクトレンズをして学校に行っているという強者もいる。金髪にしているので普段は黒のロングウィッグを被っているが、たまに金髪を巻いて登校しているという。
100円ショップやドラッグストアで低価格品買う
ポーラ文化研究所によると、子ども向けの化粧品が初めて登場したのは1953年で、「ジュニアクリーム」というスキンケア化粧品だった。パッケージは少女の憧れだった中原淳一さんのイラスト。しかし価格は150円と当時としては高く、普及しなかった。本格的に子ども向け化粧品が登場したのは高度経済成長期のまっただ中だったが、当時まだメークは「お遊び」だった。
小中学生が大人と同じ化粧品を使って、本格的にメークするようになったのは最近で、きっかけになったのは小中学生向けファッション誌『ニコラ』(新潮社)や『ピチレモン』(学研パブリッシング)などが1990年代後半に創刊されたこと。
メークして誌面に登場するモデルに憧れて、こぞってまねをした。モーニング娘。など小学生アイドルが誕生したのも影響を与えた。また、100円均一ショップやドラッグストアで低価格のコスメが登場し、気軽に手を出しやすくなった。
ポーラ文化研究所は15~64歳の女性1500人に、初めてメークした時期について調査を行っている(07年)。年齢別、メーク商品別に調べたところ、目もと用品は若い年齢ほど小中学生で使い始める傾向がみられた。マスカラは15~19歳の場合、13.3%が中学生の時に使い始め、小学生と答えた人も2.7%いる。「20~24歳」は10.7%が中学生の時の使用で、0.7%が小学生と答えた。一方、25歳以上では小中学生での使用率が大きく減った。
アイシャドー、アイライナー、アイブロー(眉墨)についても、15~24歳のおよそ1割が小中学生で使い始めたと回答。化粧を始める時期が早まっているのが調査から分かる。