エイベックスが「AAA」のシングルCDを社員に買い占めさせた――。人気グループ「いきものがかり」の所属事務所社長が、ツイッターでこうつぶやいて、物議を醸している。返す刀でオリコンも批判しているのだが、果たして本当のところは。
初めは、混戦模様だった。
小室復帰作にエイベックス社長「1位にしてあげたい」
ヒット続きで勢いに乗っている男女3人組ユニット「いきものがかり」。2010年5月5日には、シングルCD「ありがとう」を発売し、オリコンでのデイリーランキングで1万枚を超す売り上げを上げ、早くもトップに立った。
これに対し、男女7人組ユニット「AAA」が、同じ日に、音楽プロデューサーの小室哲哉さん(51)作曲の復帰第1弾「逢いたい理由」を引っさげて登場。「ありがとう」を一時抜くなどした。
小室さんは、もしオリコン週間1位になれば、8年5か月ぶりとなる。復活を印象づける絶好のPRチャンスともあって、小室さんを支援するエイベックスの松浦勝人社長は7日、ツイッターでこうつぶやいた。
「僕のお願い・・・TKの復活をオリコン 1位にしてあげたい。ライバルは小室さんにお世話になったはずのメーカーのアーティスト。。」
このライバル名について、松浦社長は明かしていない。が、「ありがとう」を出しているレコード会社エピックレコードジャパンに、小室さんが「TM NETWORK」時代に所属していたことから、ライバルは、いきものがかりとみられている。
これに対し、いきものがかりの所属事務所キューブの北牧裕幸社長は、ツイッターで8日、松浦発言をこう皮肉った。
「大人気ないなぁ(笑)。とても上場会社のトップの発言とは思えない」
混戦だった2曲は、11日になると、オリコンの週間ランキングでAAAが1位、いきものがかりが2位と白黒がついた。ところが、北牧社長は、この日のツイッターで、エイベックス社内にこんな動きがあったと暴露したのだ。
「それにしても他のランキングではベスト10にも入ってないものを無理矢理社員に買い取りに走らせ1位を取った所で、社員も情けない思い出いっぱいだろう」
「CD買い取りの事実は一切ございません」
さらに、キューブの北牧裕幸社長は、返す刀でランキングを発表したオリコンも、斬って捨てた。
「その状況を知った上で、商売のために座視してランキングを付ける調査会社にはもはや存在の意味はない」
2010年5月11日のつぶやきが真実かどうかは定かではない。現在は削除されているが、ネット上では波紋が広がった。本当かどうか検証する動きも出て、2ちゃんねるでは、CDの売上枚数に不審な動きがあるのでは、という指摘も出ている。
オリコンのデイリーランキング発表によるAAAの推定売上枚数が、土曜日の8日が3000枚台だったのに、日曜日の9日に8000枚台に突然跳ね上がった。これは、社員が買い占めた結果ではないか、というのだ。また、15日付ランキングで、いきものがかりがまだ4位に入っているのに、AAAが17位にまで下がっていることなども疑問を持たれている理由のようだ。
ランキングそのものも、CD不況で市場が縮小しているとあって、ぶれやすい危険が指摘されている。最近は、音楽の内容よりも、プロモーションや価格競争でランキング上位を狙う傾向が強いともされる。
今回も、AAAが購入者限定でライブに招いたり、オンラインショップ限定でシングルを888円で販売したりしている。いきものがかりも、シングルを555円の格安価格で売り出している。
ランキングに操作めいたものはあるのか。エイベックス宣伝部では、取材に対し、「お問い合わせ頂いた件ですが、そのようなCD買い取りの事実は一切ございません」と否定した。一方、オリコンの広報部では、「申し訳ありませんが、回答はお断りします」とコメント。その理由について聞くと、「お答えしかねます」とのことだった。