「市民による、市民のための会見」と銘打ったイベントが2010年5月12日、東京・南青山のイベントスペースで開かれ、亀井静香郵政・金融担当相が一般市民からの質問に答えた。普段の記者会見では出ないような質問も多く、死刑執行については「当分は行われないと思う」と、現職閣僚としては異例の発言も飛び出した。
イベントは、記者クラブに所属しないフリーのジャーナリストら有志が企画し、ウェブサイトで公募の上抽選で選ばれた約70人の市民が参加。10人以上の市民が質問し、1時間10分にわたってやりとりが行われた。質問者が持論を述べるなどして、司会者に「質問は何ですか」と促される場面もあったが、郵政改革・普天間基地問題以外にも、質問は多岐にわたった。
「千葉大臣ですから、廃止議連のメンバーでもありますから」
その中でも、特に熱を込めて持論を語ったのが死刑廃止問題だ。
「死刑制度は、(政権交代後は執行が事実上停止されている)モラトリアム期。大臣として(死刑制度反対の立場から)少し積極的にやっていただけることはないか」
との質問に対して、「死刑廃止を推進する議員連盟」の会長としても知られる亀井氏は、
「日本もそう(死刑廃止に)なると思う。廃止は世界のすう勢」
と持論を展開した上で、
「千葉大臣ですから、(死刑)廃止議連のメンバーでもありますから、当分は、そういうことは行われないと思います。予断は許されませんので、今後とも頑張っていきます」
と発言。千葉景子法相が、当面は死刑執行にゴーサインを出さないとの見方を示した。現職閣僚が死刑制度の運用について踏みこんだ発言をするのは異例だ。死刑制度に反対する理由としては、死刑が「悪質な国家による殺人」だという点や、
「(警察官僚としての)私自身の経験でも、冤罪はある。自白を誘導されることもあり得る。今の捜査・裁判では、自白が『証拠の王』」
と、うその自白による冤罪のリスクを挙げた。
また、国民の一定の所得を保証する「ベーシック・インカム」の考え方について聞かれ、亀井氏が
「英語は得意じゃない。不勉強で知らなかった。色々な社会保障のやり方があると思う。今のやり方では、財政上もたないと思う」
なとど、最近注目されている「ベーシック・インカム」という言葉を知らなかったことが明らかになる一幕もあった。