米国を抜き、世界最大に成長した中国の自動車市場を舞台に、日本の自動車メーカーの競争が激しさを増している。2010年4月23日~5月2日に、アジア最大級の自動車展示会「北京国際モーターショー」が開かれ、日米欧の自動車メーカーの経営トップが相次いで乗り込み、環境車の性能などをアピールした。各社は現地生産や内陸部での販売拡大も加速し、最大市場のシェア獲得を競っている。
今回のモーターショーには世界の16カ国・地域から、部品企業などを含めて約2100社が参加。今回のキーワードとして日本勢の多くは「環境対応」を掲げた。だが、富裕層を取り込む「高級感」のアピールもポイントの一つだった。
トヨタのEV試作車がお目見え
日産自動車は2011年春にも中国で販売する電気自動車(EV)「リーフ」を展示。カルロス・ゴーン社長が現地入りし、大都市内の移動手段として中国でも有望視されるEVの普及で「先駆け」を目指す考えを示した。
「中国でビジネスをどう展開するかが将来の優劣を決める」と北京で語ったのは三菱自動車の益子修社長。プラグインハイブリッド車(PHV)「PXミーブ」を展示し、EV「アイミーブ」を2012年にも中国で発売することも発表。環境対応車で中国重視の姿勢を強調した。
大規模リコール(回収・無償修理)の余波が収まらないトヨタ自動車は技術開発担当の内山田竹志副社長が出席。EVの試作車「FT-EVⅡ」やPHV「プリウスプラグインハイブリッド」、ハイブリッド車(HV)「FT-CH」を展示し、技術力の高さを訴え、信頼回復につなげることも狙った。