専用メガネで3次元映像を楽しめる3Dテレビが、日本でもいよいよ3日後に発売される。ただ、3Dは3倍以上も目が疲れる人が出たとの実験結果もあり、健康上の不安はないのだろうか。メーカー側は、「取扱説明書の注意事項を守れば、問題はない」とは言っている。
大ヒットした米SF映画「アバター」が、新鮮な3D体験を与えてくれたのは記憶に新しい。そして、日本でも3D時代が幕開け、パナソニックが2010年4月23日に3Dテレビを発売し、ソニーも6月から発売する予定になっている。今後は、パソコン、デジカメ、ゲームなどでも、3D映像が広がる見込みだ。
実験では、「パソコンより目の疲れが深刻」
アバターでは、映画を離れる不安から「3Dうつ」を告白するアメリカ人が現れたと話題になった。その一方で、健康上の不安も指摘された。ロイターが1月11日に報じたところでは、アメリカの眼科専門家が、新しい知覚経験が脳に負担となり、頭痛が起きやすいリスクがあると言っているというのだ。
日本でも、過去に3D映像が健康に与える影響が報じられたことがある。
新聞各紙によると、12年前に当時の千船病院(大阪市)眼科の新見浩司医長は、研究の結果、左右の目の見え方のズレを使って立体感を出すため、目の疲れを起こしやすいことを突き止めた。それによると、男女25人の実験で15分後に「疲れ」を訴えたのは、通常のゲーム機で映像が見た人が20%だったものの、3D仕様のゲーム機では、その3倍以上の72%にも達した。45分後では、それぞれ62%、100%で、1時間後には、3D体験の4人だけが「気分が悪い」と訴えた。
また、北國新聞の15年前の記事によると、当時の金沢工大の河原哲夫教授(感覚・運動情報システム)は、3D映像はパソコンより目の疲れが深刻だと明らかにした。対象者への実験で、眼球の左右上下を調節する能力が明らかに落ち、条件によっては映像を確認するまでの時間が実験前の1.4倍もかかったという。