海外留学する日本人の総数は減っていない
しかし一方で、海外へ留学する日本人の総数自体は減っていない。文部科学省によると、日本から海外への留学生の総数は、1996年は約5万9000人だったのに対し、06年は約7万6000人。1980年代ごろから上昇傾向が続き、98年以降は8万人前後で推移している。米国への留学だけが落ちているようだ。
日本留学生支援機構の担当者は、
「例えば、オーストラリアは留学生受け入れキャンペーンをかなり熱心にやっていました。元々米国は留学費用が高めですし、同じ英語圏であればどこでもいい、という流動的な層が他の国に動いている可能性はあります」
と推測する。文科省の02年から06年の統計を見ると、日本人の留学先として米国が数を減らす一方、オーストラリアは微増。カナダやニュージーランド、イギリスも増加傾向にある。
また、非英語圏でも中国や台湾が増加。韓国に至っては02年の720人が、06年には1200人と大幅に伸びている。
「最近、世界各国の潮流として、『留学生獲得合戦』というのがあります。韓国は特に積極的に留学生を受けて入れています。どこの国も留学生を多く受け入れて、優秀な学生には国内に残ってもらい、将来の国力としたいと考えています。ネットを見れば留学先に関する情報は色々手に入りますし、かつて米国だけだった選択肢が増えたのではないでしょうか」
と話している。