100円以下で飲料を販売する自動販売機が全国で増えている。不景気でディスカウントストアやドラッグストアで売られている激安飲料に客を取られ、定価で売れなくなったことが背景にあるようだ。賞味期限間近のものを10円や50円など激安で売る自販機も登場している。
全国に4万3000台の飲料自販機を設置している自販機メーカーのフジタカ。営業担当者は「ほとんどがワンコイン(100円)の自販機です」といっている。賞味期限が迫っているものや商品の入れ替え時期に50円で売る自販機もあるそうだ。
大阪では激安自販機が主流?
飲料メーカーが設置している自販機は定価販売が普通。一方、安く売っているのはオーナーが所有する自販機か、安い自販機を管理している業者が設置したものだ。激安自販機はもともと大阪に多く見られ、フジタカの営業担当者は「定価販売の自販機よりも安い方を目にする機会が多い」といっている。最近は他の地域にも広がっているようだ。
JR甲府駅南口にある金券ショップ「アクセスチケット甲府店」では、「24時間格安喫茶 コーヒー各種ドリンク50円から」という看板を掲げている。2台の自販機が置かれ、売られているのは50円、80円、100円の飲料だ。椅子も置いているので、ちょっとした喫茶スペースとしても活用されている。同店によると甲府では100円以下の自販機は珍しく、郊外からわざわざ買いに来る人もいるほど。ちなみに系列の金券ショップでは東京、松本、横浜などでも100円以下の自販機を設置しているそうだ。
ディスカウントスーパーやドラッグストアでは飲料が安く売られている。不景気で節約志向が高まり、少し遠くても安い店で飲料を買う人は少なくない。
日本自動販売機工業会によると、飲料自販機の普及台数は減少傾向にあり、08年末の時点で清涼飲料は223万台と、前年に比べて1.3%減っている。
販売金額の落ち込みはさらに激しく、08年は前年比11.2%減の2兆1497億2000万円だった。担当者によると、タスポ(成人識別ICカード)が導入されてタバコの自販機が減り、併設されていた飲料の自販機も影響を受けている。さらに景気が低迷し、飲料メーカーの設置意欲にも陰りが出てきている。激安自販機が増えているのはこんな背景があるようだ。