韓国からとみられる「2ちゃんねる」攻撃について、米国内のサーバー提供企業は、米FBIが捜査を始めたことを明らかにした。米政府機関のサーバーも被害を受けたことも分かっており、国際犯罪として立件される可能性が出てきた。
2ちゃんねるのサーバー提供元に関係する国内IT企業のサイト「BIG-server.com」によると、今回のサイバー攻撃で2010年3月1日午後5時12分には、2ちゃんにほとんどアクセスできなくなった。
被害総額は約2億2000万円
「2ちゃんねる東海に沈む・・・・永眠」
同サイトが2日に開設したサーバー復旧報告専用ページ「2ちゃんねる復活への奇跡の軌跡」には、こう記されている。それが2日午後4時40分から、断続的に攻撃を受けながらも、次々にサーバーが復旧していった。その様子が、アクセス数による「心電図」として、このページに載っている。
韓国メディアでは、攻撃に参加したポータルサイト・コミュニティのメンバーについて、1~2万人ほどとの見方を示している。ところが、2ちゃん全体がアクセスできない異例の大規模攻撃だっただけに、実際はもっと大人数が参加していたようだ。
2ちゃんねるのサーバーがあるデータセンターを運営する米Pacific Internet Exchange(PIE)社によると、少なくとも5万人規模で再読み込みのF5キーを連打する原始的な「F5リロード」攻撃が行われた。これは、BIG-server.comがデータセンターから得た情報だ。とはいえ、攻撃が自動化されていた可能性もあることから、米PIE社では、企業への「サイバーテロ」として米国の公的機関に調査を依頼したい考えをすでに明らかにしている。
この攻撃による被害は甚大だったらしく、BIG-server.comの担当者は、取材に対し、被害総額が概算で250万ドル(約2億2000万円)に上るとの報告をPIE社から受けたことを明らかにした。
「米政府の重要な機関」も巻き添えに
さらに、BIG-server.comでは、2ちゃんねる攻撃の余波で、なんと米政府機関のサーバーも巻き添えにあっていたことを明らかにした。それも、「米政府の重要な機関」だとの連絡を受けているというのだ。
ただ、それ以上の詳しい情報については、顧客情報なので、答えられないとしている。
BIG-server.comによると、これだけの重大な被害に対し、米PIE社は2010年3月2日、米連邦捜査局(FBI)の協力を受け、攻撃に関する情報収集と調査を始めた。そして、FBIの捜査員が正式に決まったら、同社が報告書を提出することになった。
今回の捜査は、米国の連邦法、ならびに同社があるカリフォルニア州法に基づいて行われる見通しだ。
参考例として、BIG-server.comの担当者は、2年ほど前にアメリカ企業にサイバー攻撃を仕掛けたドイツ人が刑事告訴され、アメリカで2年間拘留されたことを挙げる。そのうえで、「もし、なんらかの罪であるならば、過去の同様の事例と同じような懲役刑になるのではないでしょうか」と話している。
韓国メディアでも、サイバー攻撃は、何らかの犯罪に問われる可能性があると報じられている。
韓国三大紙の一つ「東亜日報」は、2日付の日本語版サイト記事で、故意に特定サイトの運営を妨害したり、攻撃を行ったりするのは、韓国の法律に違反する犯罪行為になると指摘している。もし韓国でも捜査が進むなら、米FBIとの協力で、「サイバーテロ」の首謀者割り出しが進むかもしれない。