岡田克也外相は2010年2月19日までに、閣議後に首相官邸や国会内で行われていた「ぶら下がり会見」に今後は応じないと、外務省記者クラブに伝えた。閣議がある日の午後に外務省内で記者会見を開催しているため「ぶら下がり取材の必要性はない」との考えだが、記者クラブ側からは「取材機会が減る」と反発する声も出ている。
「ぶら下がり会見をしてもお互いの負担になるだけ」
内閣のメンバーが重要な議題について話し合う閣議は、毎週火曜と金曜に首相官邸や国会内で開催されている。自民党政権時代の慣例では、その直後に各大臣が記者クラブに所属する記者たちのぶら下がり取材に応じることになっていた。
ところが政権が交代した09年9月、岡田外相は記者クラブに加盟していないネットメディアやフリーランスの記者にも記者会見を開放。その際、記者会見は外務省の会見室で開くようにして、閣議後のぶら下がり取材は「閣議に関する質問」に限って応じることにした。
外務省内での開催にこだわったのは、首相官邸や国会だと、記者クラブ以外のメディアのほとんどは会見に参加できないためだ。できるだけ多くのメディアの取材機会を確保しようという趣旨である。
その後も閣議後のぶら下がり取材は続いていたが、平野博文官房長官から「閣議でのやり取りは対外的に公表しないように」という要請があったため、ぶら下がり取材に応じないことに決めた。岡田外相は2月19日の記者会見で
「閣議後の会見は閣議における発言を紹介するということでスタートしたが、閣議のやりとりを公表できないとなると、ぶら下がりをやっても何も発言できないことになる。『何もありません』と毎回言うのもいいが、実質的にはお互いの負担になるだけなので、やめてもいいのではないかということだ」
と理由を説明した。ただ、今後も突発的な事件が起きたときなどに、必要に応じてぶら下がり取材には応じるという。